映画配信サービス「JAIHO(ジャイホー)」にて『ペパーミント・キャンディー4Kレストア・デジタルリマスター版』が7月20日(水)より配信されるのを記念して、本作で監督を務めた韓国映画界の巨匠イ・チャンドン監督の特別インタビューが解禁された。あわせてコメント映像も到着した。
『ペパーミント・キャンディー』は韓国で封切られるや⼤絶賛の嵐を巻き起こし、動員50万⼈突破の⼤ヒットを記録した作品。韓国のアカデミー賞である⼤鐘賞で主要5部⾨を独占し、全世界の映画祭で⾼い評価を受け⽇本にも多くのファンを持つ伝説的傑作。1999年、韓国の⽂化開放後、初となる⽇本・韓国合作映画でもある本作が、製作から20年の時を経て4Kレストア・デジタルリマスター版で蘇る。
1999年、春。40歳のキム・ヨンホ(ソル・ギョング)は、旧友たちとのピクニックに場違いな恰好で現れる。そこは、20年前に初恋の⼈スニムと訪れた場所だった。仕事も家族もすべてを失い、絶望の淵に⽴たされたヨンホは、線路の上で向かってくる列⾞に向かって「帰りたい!」と叫ぶ。すると、彼の⼈⽣が巻き戻されていく。⾃ら崩壊させてしまった妻ホンジャとの⽣活、互いに惹かれ合いながらも結ばれなかったスニムへの愛、兵⼠として遭遇した「光州事件」…。そして、記憶の旅は⼈⽣のもっとも美しく純粋だった20年前にたどり着く…。
このたび解禁されたインタビューは、本作の公開から約20年以上の時を経て、監督が現在の配信サービスの映画製作への参⼊などで変わりゆく映画業界に対する考えや『ペパーミント・キャンディ4Kレストア・デジタルリマスター版』に関する裏話や次回作などについて語る、貴重な内容となっている。
イ・チャンドン監督インタビュー
——『ペパーミント・キャンディー 4Kレストア・デジタルリマスター版』の撮影から約23年の⽉⽇が経ちますが、当時と⽐較して撮りたい作品に対する変化などはありますか?
『ペパーミント・キャンディー』を撮っていた時も、そして今でも、常に映画を通じて私が⽣きている世界そして私たちの⼈⽣について問いかける映画をずっと撮り続けたいと思っています。それは今でも変わりません。そしてそうした問いかけと共に観客と⼀緒に答えを探していくような、そんな映画を作っていきたいです。⼈⽣についての問いかけを今でもしています。
——近年、配信サービスが映画を製作することが増え、⽇本でもNetflix製作の韓国映画やドラマ、その他の配信サービスだけでしか観られないオリジナル作品が話題となる事が多いです。監督ご⾃⾝は、配信サービスオリジナルの映画を撮ることに興味はありますか?
そうですね。プラットフォームが多様になり、観客が映画を⾒る環境や習慣がとても変わったと思います。もしもそうした配信サービスで観客に出会える機会があれば私もやってみたいとも思いますが、まだ私がやってみたいと思える物語に出会えていません。いつかそうした機会もあるのではないかと思っています。
——「JAIHO」で7⽉にイ・チャンドン監督が製作総指揮を務めた『私の少⼥』、8⽉には製作プロデューサーを務めた『ファイ 悪魔に育てられた少年』が配信予定です。監督は、製作プロデューサーとしても映画に携わられている事がよくありますが、今後⼀緒に映画を作り上げたい監督もしくは俳優の⽅がいましたら、国内外問わずで教えてください。
将来の可能性にあふれる若⼿の監督たちに映画を作る機会をもっと与えてほしいと思いますし、私が⼒になれる部分があれば⼒になろうとしています。私が演出をしなくても製作者という⽴場で参加しながら、⼀緒に映画を作りたい若い俳優さん、個性あふれる俳優さんたちと⼀緒に仕事をしたいと思っています。今は『バーニング 劇場版』で⼀緒にシナリオ作業をしたオ・ジョンミさんと準備している作品を書いているところで、私は製作者として皆さんのお⽬にかかる予定です。
——「JAIHO」配信作の中で監督のお気に⼊り作品があれば教えてください。
韓国映画であれば、まだ全然知られていない映画をぜひJAIHOで紹介して頂けたら嬉しいです。
——次回作に関して制作の予定や何か構想などがあれば可能な範囲で教えてください。
今はコロナの影響で映画製作に様々な影響がでています。しかし私も次回作を準備していますし、早く皆さんにお⽬にかかれたらと思っています。
——イ・チャンドン監督の作品の多くが4Kリマスター化されています。リマスター化には監督⾃⾝がどの程度関与されているのか、国からの⽀援などがあるのか教えてください。
そうですね。国の⽀援でリマスター作業を⾏うこともあります。政府の機関である映像資料院でそうした⽀援をしています。私の映画でいうと『ペパーミント・キャンディー』は映像資料院の⽀援を受けてリマスター作業をしました。そして私の作品のリマスター作業に関しては、最初から最後まで私⾃⾝も参加をして細かく作業を⾏います。最⼤限に原本の通りにするリマスター作業です。
——「JAIHO」で配信が始まる『ペパーミント・キャンディー 4Kレストア・デジタルリマスター版』について思い出すエピソードなどありましたら教えてください。
この作品は最初のチャプターと最後のチャプターで同じ鉄橋が登場しますが、最後のチャプターの時に再びその場を訪れて撮影をしようとしたところ、鉄橋で⼯事がはじまっていたんです。私はパニックに陥ったのですが、なんとか⼯事をストップしてもらって撮影をした覚えがあります。このエピソードを知って映画をご覧になると、最初に出てくる鉄橋と最後に出てくる鉄橋の微妙な違いを感じて頂けると思います(笑)。
——韓国映画界の変化、現在の韓国映画についての監督のお考えなどもお伺いしたいです。
映画製作はコロナの影響で厳しい部分も多いです。なぜなら今、制作された韓国映画の100本以上が劇場公開できぬまま待機しています。その反⾯で配信サービスコンテンツ、ドラマはとても⼈気です。韓国では今、ドラマ制作はとても活発です。また、映画のスタッフや俳優も今はドラマを撮っていることが多いです。映画産業は、今後観客が劇場に戻ってきてくれるかどうかの分岐点に⽴たされていると思います。その中でも私は私のできることをしているし、韓国映画が再び活⼒を取り戻すであろうと信じています。
ペパーミント・キャンディー 4Kレストア・デジタルリマスター版
2022年7⽉20⽇〜9⽉17⽇、JAIHO(ジャイホー)にて配信
1999年/韓国
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