ロシアのウクライナ侵攻から1年、戦禍の惨状をありのままに伝えるドキュメンタリー映画『マリウポリ 7日間の記録』が4月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開されることが決定した。あわせてメインビジュアルと場面写真が解禁となった。

2022年2月24日、ロシアのウクライナ侵攻は全世界に衝撃を与えた。1991年のウクライナ独立、そして2013年から2014年のマイダン革命に端を発し、ウクライナの東部に位置するドンバス地方では、親ロシア分離派とウクライナ系住民との紛争が絶え間なく続き今日に至っている。
そのウクライナ東部ドンバス地方のマリウポリは、ロシア軍に侵攻、包囲され、砲撃によって街は廃墟と化した。眩しい日差しの下、人っ子一人見当たらない瓦礫の街の風景は、人類すべてが滅亡してしまったかのようだ。夕暮れ時、建物の割れた窓から見える地平線には炎と噴煙が立ち昇り、連射される曳光弾の光跡と共に雷鳴のような砲撃音が轟いている―。

リトアニア出身で、人類学者からドキュメンタリー監督に転身したマンタス・クヴェダラヴィチウス監督は、2016年にすでにマウリポリを訪れ、同地の人々の日々の営みを記録した『Mariupolis』(日本未公開)を発表し、高い評価を得ていた。本作はその続編ともいうべき作品である。
クヴェダラヴィチウス監督は、侵攻間もない3月に現地入りし、破壊を免れた教会に避難している数十人の市民らと生活を共にしながら撮影を開始。カメラに収められたのは、死と隣り合わせの悲惨な状況下でも、普通におしゃべりを交わし、助け合い、祈り、料理をし、タバコを吹かし、また次の朝を待つ住民たちの姿だった。

だが、現地入りし、取材開始から数日後の3月30日、クヴェダラヴィチウス監督は同地の親ロシア分離派に拘束され、殺害された。助監督だった監督のフィアンセによって撮影済み素材は確保され、遺体とともに帰国。クヴェダラヴィチウス監督の遺志を継ぎ、製作チームが完成させた作品は、直ちに5月の第75回カンヌ国際映画祭で特別上映され、ドキュメンタリー審査員特別賞を受賞。2022年末にはヨーロッパ映画賞・ドキュメンタリー賞を受賞した。
『マリウポリ 7日間の記録』は、私情も感傷も交えず記録に徹し、戦禍の惨状で生きる人々の日常と、廃墟に流れていた時間をリアルに追体験させるドキュメンタリー。ここには激しい戦闘の様子や刺激的な映像は一切ない。ただ戦争という理不尽な悲劇に見舞われた人々の営みがありのままに映し出されているだけだ。ニュース報道からは伝わってこない、真のマリウポリの現状がこの作品に記録されている。
今、それを観る我々は、いったい何を感じ、何を想うだろうか。

このたびの公開決定にあわせてメインビジュアルが解禁。廃墟と化した街に訪れる朝、立ち昇る噴煙、人が見当たらない瓦礫の風景…まるで人類が滅亡してしまったかのようなマリウポリの姿が印象的なビジュアルになっている。

マリウポリ 7日間の記録
2023年4月15日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・製作・撮影:マンタス・クヴェダラヴィチウス 製作:ウジャナ・キム、ナディア・トリンチェフ、オマール・エルカディ、タナシス・カラタノス、マーティン・ハンペル 編集:ドゥニア・シチョフ 助監督:ハンナ・ビロブロワ
【2022 年/リトアニア=フランス=ドイツ合作/ロシア語/カラー/ヴィスタサイズ/5.1ch/上映時間:112 分/日本語字幕:松下則子字幕監修:上田洋子/原題 Mariupolis 2】
後援:リトアニア共和国大使館 配給:オデッサ・エンタテインメント TOMORROW Films. 配給協力:アーク・フィルムズ
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