メタリカのM72ワールド・ツアー上映に音楽評論家の伊藤政則とライターの武田砂鉄からコメント到着「彼らの実験と革新性が具現化」

アーリントン・テキサス州のAT&Tスタジアムで開催されるメタリカのM72ワールド・ツアーが日本の映画館で8月19日（土）と21日（月）の2夜、19:45から中継上映。このたび、音楽評論家の伊藤政則と、ライターの武田砂鉄から熱いコメントが寄せられた。

メタリカ『M72 World Tour Live From Arlington, TX』では、1983年のデビュー作「Kill 'Em All」から2023年の新作「72 Seasons」まで、40年以上のキャリアから選曲し、完全に異なるセットリストで2夜にわたり演奏する。両日で合計30曲以上、同じ曲は2度と見られない。

TOHOシネマズ 六本木ヒルズとTOHOシネマズ なんばは、スタンディングとヘドバンがOKで、TOHOシネマズ 六本木ヒルズの第二夜には、伊藤政則が参加して上映前に前説が付く。このたび本作に寄せられた伊藤政則と武田砂鉄からのコメントは以下のとおり。

コメント

2023年5月17日と19日、パリのスタッド・ド・フランスでMETALLICAのライヴを観た。観たというよりも、体験したと言った方がいいのかもしれない。空前のスケールで展開されるライヴは、溶鉱炉の如き熱さを吐き出していった。しかし、観客と1対1の接近戦に持ち込んでいくMETALLICAらしい戦法で、7万人の観客は次々に彼らが作り出す、凄まじい渦の中に呑み込まれていった。いつか実現するはずの日本公演の予行演習として、8月19日、21日、テキサスからの映像を劇場で体験しようじゃないか。彼らの実験と革新性が具現化した、全く異なるセットリストの2日間。この体験こそが、日本公演へと続く『道』になると信じて！
伊藤政則 / MASA ITO

メタリカを観たい。もう10年もそう思い続けていることになる。2013年のサマーソニックでのライブ終了後、「またすぐ会おうね！」みたいなことを言っていた（今、当時の音源を確認したら、ラーズがそう言ってました）。もちろん常套句だと思いつつも、その後、彼らがプレイする映像を観るたびに「すぐ来るって言ってたじゃん……」とぶつくさ呟くことを忘れないようにしてきた。でも、ぶつくさ呟いているだけでは届かない。「来てください、観に行きますから」と正式に届けなくてはいけない。新作『72 Seasons』に貫かれている緊迫感は、ジェイムズの葛藤、その思索をバンド全体で引っ張り出したから生まれたものだと思うけれど、彼ら自身のキャリアがさすがに終盤にさしかかっていて、その自覚がこの高密度を作り出したのではないかとも思う。なので、とにかく観たい。来てください。今回のライブ上映、もちろん大きなスクリーンで観るのも楽しみだけど、「日本に来て」とバンドに伝える意見表明でもあるはず。観たい。来て。よろしくお願いします。
武田砂鉄（ライター）