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第75回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に正式出品された巨匠マルコ・ベロッキオ監督の『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』を8月9日(金)より全国順次にて公開。このたび、アルド・モーロが極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃・誘拐される緊迫のシーンを切り取った本編映像と、特別ポスタービジュアル6種が解禁。あわせて、多彩な文化人からのコメントも到着した。

久米宏 「激しい動悸と暫しの思考に時を忘れる」

本作は、巨匠マルコ・ベロッキオが、ヨーロッパ現代史上、類を見ない大事件「アルド・モーロ誘拐事件」を題材に、壮大な人間模様を、史実にフィクションを織り交ぜながら力強くも絢爛たる筆致で描き切った一大巨編。1978年3月のある朝、元首相で、キリスト教民主党の党首のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲われ、誘拐された。冷戦下で混迷を極め、テロや暴動が蔓延り、“鉛の時代”と呼ばれていたイタリアで起きた国家を揺るがす大事件の裏側で、その時一体何が起こっていたのか。ベロッキオは、“羅生門方式”とも言える、事件に関わった人物たちのそれぞれの6つの視点から再構築した。

このたび、アルド・モーロが極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃・誘拐される瞬間を映し出した緊迫のシーンの本編映像が解禁。「赤い旅団」メンバーが、街中で白昼堂々と、モーロの乗った車を襲撃し、護衛と銃撃戦を繰り広げたのちにモーロを連れ去ったことが分かる衝撃的な場面だ。

また特別ポスタービジュアル6種も解禁。本作が6つのエピソードから成り立っていることから、それぞれの印象的なシーンを大胆に切り取ったインパクトの強いビジュアルに、「発端 モーロの誘拐」「混乱 苦悩するコッシーガ」「交渉 パウロ6世の手紙」「対立 赤い旅団」「家族 エレオノーラの焦燥」「告解 五十五日間」と、各エピソードを象徴する言葉が添えられたポスターとなっている。デザインは、大島渚監督作「戦場のメリークリスマス 4K修復版」や、「WKW4K ウォン・カーウァイ4K 5作品」のポスターを手がけたことでも知られるデザイナー・成瀬慧が手掛けた。

さらに、俳優、フリーアナウンサー、ジャーナリスト、思考家といった多彩な文化人から絶賛コメントが到着。俳優の銀粉蝶は「虚実の境を確かな足どりで、しかし大いに揺れながら進む6時間。現実の出来事だから結果は知っているにも関わらず、この息詰まる面白さはなんだろう?サスペンスフルな画は美しくつつましやか。現実の不条理を見つめるその眼差しには、ベロッキオの業が色濃く滲んでいた。」と絶賛、フリーアナウンサーの久米宏は、当時の自身の記憶を思い起こし、「この誘拐事件は良く覚えている ザ・ベストテンという番組がスタートしたその時に起きたからだ 340分という大作だ スクリーンを見詰めているうちにふとドキュメンタリーだと錯覚してしまう 激しい動悸と暫しの思考に時を忘れる」と熱いコメントを寄せた。

また思考家の佐々木敦は「名作『夜よ、こんにちは』から約20年、イタリア現代史最悪の誘拐事件に鬼才ベロッキオが再び向き合い撮り上げた超大作。複数の登場人物の視点の交錯の果てに、何が待っているのか?現実を土台とするフィクションの傑作。とにかく無類に面白い!」と激賞した。コメント全文・一覧は以下のとおり。

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』は8月9日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開。

『夜の外側 イタリアを震撼させた55日間』コメント一覧

この誘拐事件は良く覚えている
ザ・ベストテンという番組がスタートしたその時に起きたからだ
340分という大作だ スクリーンを見詰めているうちに
ふとドキュメンタリーだと錯覚してしまう
激しい動悸と暫しの思考に時を忘れる
久米宏(フリーアナウンサー)

名作『夜よ、こんにちは』から約20年、
イタリア現代史最悪の誘拐事件に鬼才ベロッキオが再び向き合い撮り上げた超大作。
複数の登場人物の視点の交錯の果てに、何が待っているのか?
現実を土台とするフィクションの傑作。とにかく無類に面白い!
佐々木敦(思考家)

何を過去の歴史から学んだか
まるで私たちの国のざまを映した鏡ではないか。2015年、イスラエルのネタニヤフ首相との会談直後、当時の日本の首相が「テロリストとは交渉しない」と世界に公言し、まもなく人質となっていた邦人ジャーナリストが処刑された。「国家は不動でなければならぬ」。7年後、彼も自国で銃撃殺害された。過去は今・未来を考える糧だ。
金平茂紀(ジャーナリスト)

これほど面白くていいのだろうか。
思わず戸惑うほどに面白い。
かつて実際に起きた悲劇を中心に据え、外側からの視線によってつくられた複数のドラマ。
1話、2話と進むうち、政治家たちの醜悪な顔とともに、人間の弱さ、狡さがこれでもかと炙り出される。
その仰々しく空虚なラストに呆然とする。
月永理絵(ライター、編集者)

監禁現場の外側に冷戦下のどすぐろい政治的現実がうごめく。その埒外で、人間どうしの憐れみの回復を求め、降りかかった受難を拒みつつも引き受ける、魂のうずきの実在感に震撼する。ベロッキオのライフワークたる、イタリア現代史シリーズの高峰をなす傑作!
後藤岳史(映画ライター、編集者)

スクリーンに釘付けになる緊迫の5時間半!
そこに映し出されるのは「過去の歴史的大事件」ではなく、まぎれもなく現代(いま)へと続くベロッキオ監督の熱く静かな怒りと抵抗だ。
中村由紀子(Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 番組編成)

マルコ・ベロッキオの演出は、海千山千の政治家だろうが、武装した革命家だろうが、ローマ教皇でさえ一人のか弱い人間へと引きずり降ろす。タブーをものともしないその自在な剛腕が、再びイタリア史の《闇夜》に風穴を開けた。
岡田秀則(フィルムアーキビスト/国立映画アーカイブ主任研究員)

「こんな時にムッソリーニがいれば」
事態はぐらぐらと左右に傾き
彼らの顔色はだんだん悪くなっていく。
宗教にも、政治にも、組織にも
ずるずる羽交い絞めにされて
彼らの表情はごりごり固まっていく。
私たちはその顔を見逃がさない。
映画は顔だ!
やっぱり「映画は顔だ!」。
宮崎祐治(キネマ旬報連載「映画は顔だ!」イラストレーター)

虚実の境を確かな足どりで、しかし大いに揺れながら進む6時間。現実の出来事だから結果は知っているにも関わらず、この息詰まる面白さはなんだろう?
サスペンスフルな画は美しくつつましやか。現実の不条理を見つめるその眼差しには、ベロッキオの業(ごう)が色濃く滲んでいた。
銀粉蝶(俳優)

いまだに謎が残る、イタリアのモーロ元首相誘拐事件。
人間と政治が複雑に絡み合う今こそ、心揺さぶる映像と物語を通して、「歴史」を学ぼうじゃないか。
竹田ダニエル(ライター・研究者)

1978年。ひとりの政治家の誘拐と殺人。
ローマ教皇から、全ての政党と家族を巻き込む。
いやイタリア中を揺るがす、政治における権力闘争と金。
マフィアの暗躍、更に大きな力が介入したかも。夜の闇と内と外。
マルコ・ベロッキオの情熱と理性が、我らの心に火をつける。
秦早穂子(映画評論家)

これは悪と背信の叙事詩である。また愛と期待のメロドラマでもある。ベロッキオはつねに家庭と権力、夢と解放を描いてきた。要するに、イタリアのすべてを描いてきたといえる。
四方田犬彦(映画誌・比較文学研究家)

作品情報

夜の外側 イタリアを震撼させた55日間
2024年8月9日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー

STORY
1978年3月のある朝、戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党の党首であり、5度の首相経験のあるアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃、誘拐されてしまう。世界が注目し、イタリア中が恐怖に包まれたその日から55日間の事件の真相を、アルド・モーロ自身、救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世、赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ、そして妻であるエレオノーラ・モーロの視点から描く。

監督・原案・脚本:マルコ・ベロッキオ 
原案:ジョヴァンニ・ビアンコーニ、ニコラ・ルズアルディ 原案・脚本:ステファノ・ビセス 脚本:ルドヴィカ・ランポルディ、ダヴィデ・セリーノ 撮影監督:フランチェスコ・ディ・ジャコモ 編集:フランチェスカ・カルヴェッリ 美術:アンドレア・カストリーナ 衣装:ダリア・カルヴェッリ 録音:ガエターノ・カリート 音楽:ファビオ・マッシモ・カポグロッソ 製作:ロレンツォ・ミエーリ、シモーネ・ガットーニ 
出演:ファブリツィオ・ジフーニ、マルゲリータ・ブイ、トニ・セルヴィッロ、ファウスト・ルッソ・アレジ、ダニエーラ・マッラ

2022年/イタリア/イタリア語・英語/340分/カラー/1.85:1/5.1ch 

原題:Esterno notte 英題:Exterior, Night 字幕翻訳:岡本太郎  映倫:区分G

配給:ザジフィルムズ

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公式サイト https://www.zaziefilms.com/yorusoto

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