「ピーターラビット」の作者ビアトリクス・ポターの伝記絵本「ビアトリクス・ポターの物語 キノコの研究からピーターラビットの世界へ」が2021年7月9日(金)に発売される。

世界中で愛されているウサギ“ピーターラビット”。1902年にイギリスで出版された絵本「ピーターラビットのおはなし」は、たちまち読者をとりこにし、20冊を超えるシリーズとして現在まで読み継がれている。今年、生誕155周年を迎える作者のビアトリクス・ポター(1866-1943)とは、いったいどんな人だったのだろうか。

ロンドンの裕福な家庭に生まれ、恵まれた環境で育ったビアトリクス。少女時代は、家族で出かけたスコットランド高地の自然のなかを歩き回ることが大好きで、気にいったものすべてを集めてスケッチに熱中。生き物を愛し、ロンドンの自宅でもさまざまなペットを飼って、動物の骨格まで観察して正確に描いていた。
大人になるとキノコに魅せられ、スケッチはもちろん、研究を重ねて論文を書き、有名な学者たちに提出するほどに。しかし、1800年代後半の当時の風習として女性の学会への参加は認められず、やがてビアトリクスは菌類研究から遠ざかり、絵本作家という新しい道へと歩み始める。

本書は、そんなビアトリクスの〈研究者〉としての一面にスポットを当てて描かれた伝記絵本。自然と芸術の両方に情熱をそそぎ、自分の道を見出していったビアトリクスの姿を、子どものころからピーターラビットの絵本シリーズが大好きだったという作家とイラストレーターによって、愛情を込めて描かれている。
大ヒットした前作を受けて製作された映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』も、本日6月25日から全国で劇場公開がスタート。愛らしい動物たちが活躍する物語を楽しみながら、偉大な功績を残したビアトリクス・ポターその人の生涯にも思いを馳せてみてはいかがだろう。
『ビアトリクス・ポターの物語 キノコの研究からピーターラビットの世界へ』
2021年7月9日発売/2021年7月15日発行
ISBN978-4-86706-027-8
定価:1760円(本体1600円+税)
B5変型・上製・33ページ
発行・発売:西村書店 http://www.nishimurashoten.co.jp/book/archives/17041
【 作者/訳者 紹介 】
文●リンゼイ・H・メトカーフ(Lindsay H. Metcalf)
ジャーナリスト、ノンフィクションの絵本作家。子どものころからビアトリクス・ポターの世界が大好きで、頭の中はビアトリクスみたいに疑問でいっぱいだった。著書に『Farmers Unite!』『No Voice Too Small』(いずれも未訳)など。夫と2人の息子とともにアメリカのカンザス州の田舎を探険している。
https://www.lindsayhmetcalf.com
絵●ジュンイ・ウー(Junyi Wu)
イラストレーター。ビアトリクス・ポターのお話と絵が大好きな子どもだったので、絵本を作ることができてとても幸せ。ビアトリクスのように楽しみながら自然の美しさと微妙なニュアンスの表現を探求している。アメリカのカリフォルニア州で、器用な夫、かしこいネコ、陽気なウサギと暮らす。ニューベリー賞オナー作品『Scary Stories for Young Foxes』(未訳)のイラストを担当。
訳●長友恵子(ながとも けいこ)
翻訳家、エッセイスト。訳書に『中世の城日誌』(産経児童文化出版賞JR賞)、『ぼくだけのぶちまけ日記』(ともに岩波書店)、『せんそうがやってきた日』(鈴木出版)、『ピーターラビットのクリスマス』(文化出版局)、『ヤーガの走る家』(小学館)など。子どものころから筋金入りのネコ好き。紙芝居文化の会運営委員。