第78回カンヌ国際映画祭にてパルムドール(最高賞)を受賞した、イランの巨匠ジャファル・パナヒ監督の最新作『シンプル・アクシデント/偶然』が本日5月8日(金)より全国公開中。このたび、自身の7ヶ月の獄中体験が本作の元になったという、ジャファル・パナヒ監督のインタビュー映像が解禁された。
2010年、イラン政府への反体制的姿勢を理由に映画制作および海外渡航を20年間禁じられ、違反した場合は禁錮6年という有罪判決を受けていたパナヒ監督。彼が自由を取り戻して最初に手がけた本作は、2025年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、イラン映画としては28年ぶりとなる最高賞パルムドールを受賞。今回解禁された映像は、その記念すべき映画祭の場で収録されたインタビューである。

本作の制作前、刑務所に約7ヶ月間拘束されていたというパナヒ監督は「刑務所にいた間、私たちにはやることがほとんどなく、他の受刑者たちの人生や経験談を聞いたり話したりしていた」と振り返る。「釈放後も彼らとの強い絆を感じ続けていた」と語り、その経験が本作の着想へとつながったことを明かした。
また、本作の重要なテーマのひとつである「拷問された側が拷問者を捕まえたとき、どのような行動をとるのか」という問いにも触れつつ、「テヘランでひそかに撮影した」という制作背景についても言及。
さらに、これまで数々の制約の中で続けてきたパナヒ監督の映画制作について「制限は撮影場所や作業量に影響を及ぼすが、それはどの作品にも共通することだ」と冷静に語る場面も。そして「この物語を通じて役人の姿を知り、その声にも耳を傾ける」という視点について問われると「映画はこの不健全な制度を非難しています。何も正常に機能していない」「このような状況に身を置く者であれば、誰であれ必然的に汚れてしまう。正常な形を成していない体制下では、次の人も同じことを繰り返すのです」と答え、最後に「次の計画について考えていますか?」という質問には、「いつも次の計画を練っている」と語り、困難な状況下にあっても衰えることのない創作意欲をのぞかせた。
なお、2025年12月にはアメリカでのプロモーション活動中だったパナヒ監督に対し、イランのイスラム革命裁判所が「反体制プロパガンダ活動」を理由に欠席裁判で懲役1年を宣告。さらに2年間の渡航禁止、政治・社会団体への参加禁止といった厳しい措置が科されるなど、依然として厳しい状況が続いている。加えて2026年2月にはアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が開始されるなど、情勢は緊迫の度合いを増しており、本作は刻一刻と変化するイラン情勢の中での公開となる。
まとめ(注目ポイント)
- 映画『シンプル・アクシデント/偶然』5月8日(金)より全国公開第78回カンヌ映画祭にて、イラン映画としては28年ぶりとなる最高賞パルムドールを受賞した最新作。
- 自身の獄中体験と極秘撮影の裏側を語るインタビュー映像解禁約7カ月の拘束中に得た着想をもとに、テヘランでひそかに撮影された緊迫の制作背景を明かす貴重な映像。
- 緊迫するイラン情勢と厳しい制約の中で迎える劇場公開懲役1年の宣告など厳しい制約下にあっても衰えることのない、監督の強い創作意欲を証明する記念碑的一作。
シンプル・アクシデント/偶然
2026年5月8日(金)、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国公開
監督・脚本:ジャファル・パナヒ 『白い風船』『チャドルと生きる』『人生タクシー』『熊は、いない』
出演:ワヒド・モバシェリ、マルヤム・アフシャリ、エブラヒム・アジジ、ハディス・パクバテン、マジッド・パナヒ、モハマッド・アリ・エリヤ
2025年/フランス・イラン・ルクセンブルク/ペルシャ語/103分/日本語字幕:大西公子/字幕監修:ショーレ・ゴルパリアン
配給:セテラ・インターナショナル/協力:ユニフランス
©LesFilmsPelleas
公式サイト simpleaccident.com



