2022年5月20日(金)よりシネマート新宿にて開催される、気が滅入る特集上映「狂人暴走・大激突」の第2弾「大暴走・野蛮地獄」より、数十年ぶりに正式上映となる孤高の怪作『マッドボンバー』のオリジナル予告編が解禁された。
このたび、特集上映「大暴走・野蛮地獄」で久しぶりに上映される『マッドボンバー』は、アクションともサスペンスともドラマともいえない、全篇異常性が充満する映画史上最高の怪作。溺愛した一人娘が麻薬中毒で死亡したことで社会を逆うらみ、世の中の浄化を目論む連続爆弾魔、性的コンプレックスを抱え強姦でカタルシスを味わう連続暴行魔、そして犯罪者を憎み、強い殺意とともに捜査を展開するサイコ刑事の狂人3人が、L.A.の街を舞台に壮絶な三つ巴の追撃戦を繰り広げる奇跡の 70 年代バイオレンス。
『戦慄!プルトニウム人間』や『巨大生物の島』など、人間や怪物を巨大化させたモンスター映画を連発したバート・I・ゴードンが監督、製作、脚本、撮影をこなし、そのキャリアでも一際異彩を放つ全篇異常性が充満する一篇に仕上げた。爆弾魔に TV シリーズ『ライフルマン』のチャック・コナーズ、暴行魔に『悪魔の沼』のネヴィル・ブランドが扮し、狂人にふさわしい彫深い面構えをみせ、TV シリーズ『ベン・ケーシー』のヴィンセント・エドワーズが鬼刑事ジェロニモを演じた。
本国アメリカではちょうど『ダーティハリー』『フレンチ・コネクション』の大ヒット直後により、それら2作を引き合いに<次はジェロニモだ!><人は奴をダーティコップと呼ぶ…><『ダーティハリー』『フレンチ・コネクション』よりすごい!>など、刑事ものとしてアピールするポスターが作られたが、爆弾魔と暴行魔の偏執的異常性で得体の知れない病的魔力をまとった本作は、刑事アクションという枠では到底捉えることのできない、たとえようのない作品となってしまい、その宣伝は機能しなかった。
このたび解禁されるオリジナル予告編では、まず作品タイトルが『THE POLICE CONNECTION』となっているが、本作は『THE MAD BOMBER』『THE POLICE CONNECTION』『DETECTIVE GERONIMO』『GERONIMO』など様々なタイトルが存在し、この予告は『THE POLICE CONNECTION』のものであることがわかる。続いて、時限爆弾用に使われそうな時計をのぞき込む男にチャック・コナーズ、「きっと見つけるよ」と誰かに語る男にヴィンス・エドワーズ、警察に逮捕状を突き付けられる男にネヴィル・ブランドの名前のテロップが映し出され、狂人3人をさっそく紹介。すると凄まじい轟音とともに爆発が発生、その後も2回ほど爆発シーンを挿入し、爆弾の威力を強調する作りとなっている。
また、ポルノ映像で興奮する暴行魔の姿と劇中のその後の展開は、世界的に有名となっているシーンだ。後半、爆弾魔が目撃する女性の姿が入れ替わるのは、爆弾魔があまりの哀しみに我を失って妄想や幻覚にとらわれていることをあらわしている。予告編最後にうっすらと流れる歌声は爆弾魔の娘を演じたナンシー・ホノルドの歌うテーマ曲「Reaching Out」の旋律。予告編全体から単なるバイオレンス・アクションとは異なり、深い悲しみに満ちた映画であろうという雰囲気が滲み出ている。
なお、予告編後半にロゴが登場する米国配給のシネメーション・インダストリーズは、日本では観ることはかなわないであろう史上最強クラスの超怪作『アイダホ・トランスファー』(73年/ピーター・フォンダ監督)を手掛けた会社だが、数年後の76年に消滅している。
本作は1974年1月に劇場公開されて以降リバイバル公開はされておらず、映画祭での上映や違法上映が行われた可能性はあるが、正式な再上映はこの≪大暴走・野蛮地獄≫がおそらく初めて、数十年ぶりの公式上映となる。本作にはラストシーンが異なるほか、劇中のいくつかのカットの異なるバージョンが存在するが、本上映はアメリカ劇場公開版であるノーカット版本編となっている。
あまりの哀愁に心が砕ける孤高の怪作。
マッドボンバー
監督・製作・脚本・撮影:バート・I・ゴードン 原作:マルク・ベーム
出演:ヴィンセント・エドワーズ、チャック・コナーズ、ネヴィル・ブランド
1972年|アメリカ映画|91分|原題:THE MAD BOMBER
© 1989 COLLEGE FILMS, Inc. (Published 1972),1996 TV MATTERS, BV - Assigned 2005
IGNITE B.V.
●5/20(金)~5/26(木):マッドボンバー | サイコマニア | 爆走!狼男 | サンフランシスコ連続殺人鬼
●5/27(金):悪魔の植物人間
●5/28(土):変態村
●5/29(日):荒野の千鳥足
●5/30(月):マッドボンバー
●5/31(火):サンフランシスコ連続殺人鬼
●6/1(水):アングスト/不安
●6/2(木):爆走!狼男
●6/3(金):サイコマニア | マッドボンバー
●6/4(土):ハンガリー連続殺人鬼 | サンフランシスコ連続殺人鬼
●6/5(日):サイコマニア | 爆走!狼男
●6/6(月):サンフランシスコ連続殺人鬼 | アメリカン・サイコ
●6/7(火):爆走!狼男 | マッドボンバー
●6/8(水):サイコマニア | チャーリー・セズ/マンソンの女たち
●6/9(木):マッドボンバー | サンフランシスコ連続殺人鬼
※上映スケジュールおよび上映作品はやむを得ない事情により予告なく変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。
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