ホアキン・フェニックス主演、リドリー・スコット監督による映画『ナポレオン』が12月1日(金)に全国の映画館で公開。このたび、ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ役のヴァネッサ・カービーが当時のファッションについて語る特別映像と貴重な衣装デザイン画、衣装デザインを担当したジャンティ・イェーツとデヴィッド・クロスマンのコメントが解禁された。
本作はアカデミー賞®作品賞受賞の『グラディエーター』や『オデッセイ』などを手がける巨匠リドリー・スコット監督と『ジョーカー』のアカデミー賞®俳優ホアキン・フェニックスが、『グラディエーター』以来の再タッグで挑むスペクタクル超大作。歴史に名を刻むフランスの皇帝ナポレオン。英雄と呼ばれる一方で、悪魔と恐れられた男の真の姿を壮大なスケールで描く。『ジョーカー』の怪演につづき、カメレオン俳優ホアキン・フェニックスが迫真の演技を見せる。ナポレオンの妻ジョゼフィーヌ役には、『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』のホワイト・ウィドウ役や『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』など次々と話題作に出演する、アカデミー賞®ノミネート俳優ヴァネッサ・カービー。
時代を超えた歴史超大作を作り上げる上で大切なのが“衣装”。18世紀のフランス革命からスタートする物語において、衣装は当時の空気を作り上げる重要な要素。ゆえに本作でも緻密な時代考証が行われた。そして観客を一気にフランス革命後のフランスに連れて行ってくれるようなリアリティをもたらすことに成功している。
『グラディエーター』を含め、何作もリドリー・スコット監督と仕事をしてきた衣装デザイナーのジャンティ・イェーツはドレスを担当。キャラクターについてより深く知るためフランスに出向き、プロヴァンス地方アンペリ城にある陸軍博物館、パリの人類博物館、そしてジョゼフィーヌが隠居して晩年を過ごしたマルメゾンを訪れたそう。ナポレオンの図像が多く存在するフォンテーヌブローにも足を運んだ。
フランス革命前後は、デザインもそれまでのロココの華やかな色彩のドレスから白基調のハイウエストワンピース型へ、そして素材も絹にかわり綿へと流行は移り変わり、人々のファッションに対する美意識が大きく変化した時代。「革命後のファッションは過激そのもの。全身が透けたメッシュドレスに大胆すぎる胸元。そしてド派手な帽子…」とジャンティは当時のトレンドを解説する。
さまざまなリサーチを重ね、衣装は単なる小道具ではなく、ジョゼフィーヌの時間軸や、彼女とナポレオンとの関係がどのようなものであるかを表す重要な要素となった。「ジョゼフィーヌの地位が上がってからは、私たちはシルバーとゴールドにこだわりました。彼女のガウンはシンプルなものから華やかなものになり、多くのジュエリーを身につけるようになりました」。
俳優たちはよく、衣装を身につけると自分のキャラクターを見つけることができると話すが、ジョゼフィーヌを演じたヴァネッサ・カービーも例外ではない。「衣装の変遷は壮観でした。首の赤いリボンはギロチンの象徴で、当時のトレンドだった。ジョゼフィーヌは時代の最先端であり、ファッションアイコンでした」と、ナポレオンと出会い皇后となるまで、社会的地位の変遷が衣装を通して表現されていることに言及している。
そしてジャンティのデザインしたドレスについても絶賛を送る。「ドレスは素晴らしいものでした。ジャンティは天才です!すべてが実際のドレスをもとにジャンティがデザインしたもので、完全に手作り。そしてそれぞれのドレスに施された技巧に驚きました。30秒のシーンでさえ、驚くような衣装が用意されているんです。毎朝、どのドレスを着るかを選ぶのが楽しみでした」。結婚式、戴冠式、仮面舞踏会…特に、見るも艶やかなドレスで埋め尽くされるシーンはまさに圧巻の一言だ。
そして軍服を担当したのが、『プライベート・ライアン』でキャリアをスタートさせ、リドリー・スコット監督とは『キングダム・オブ・ヘブン』(05)『アメリカン・ギャングスター』(07)でコラボレートしてきた軍服衣装デザイナーのデヴィッド・クロスマン。
彼は、「最初にしたことは、知り合いのコレクターから1790年代当時の本物の衣装を手に入れることでした。目的は当時の衣装の美しさを直に知り、捉えること。取り寄せたのは当時の軍服だけではありません。軍服は民間人の服装やファッションと非常に密にリンクしているので、民間人のファッションを模倣し軍服のデザインに取り入れようと考えたのです。当時の衣装の模様などをコピーしてから、本作用のサンプルを作り始めました。」と語っている。
特に、私たちが思い浮かべるナポレオンといえば帽子が印象的。クロスマンは「現存する当時の帽子を徹底的に調べ、すべてが正しい比率になるようサイズをコピーしました。大きな帽子は人に恐怖感を与えるので、他の映画ではとても小さく縮小された帽子が使われていることが多いのですが、本作では正確なサイズとスケールのものを使うようにしました。ホアキンが被っているのは典型的なナポレオン・ハット(二角帽子)です」と、サイズまでもがリアリティを追求して制作されたものだったことを明かしている。
時代は移り変わり、ナポレオンは皇帝へと上り詰めていく。その変遷も衣装で表現することが求められた。「1790年代半ばのフランス軍は、フランス革命直後の混乱期。当時のナポレオンはあまり贅沢はできないような役職でした。指揮官としての地位を手に入れた頃には、徐々に刺しゅうが施された軍服を着るようになります。そして1790年代後半のエジプト遠征、そしてマレンゴの戦いでは、全面に刺しゅうが施された2列ボタンの軍服を着ています。この衣装はパリの美術館からお借りして、忠実にコピーしたものです」。
クロスマンは衣装の面からナポレオン自身の内面をこう考察している。「皇帝になる頃には、よりシンプルな軍服に移行していきます。これは“もっと目立たないようになりたい”、そして“もっと印象を薄くしたい”という彼の思いを強く反映しているのだと思います。ナポレオンには矛盾するさまざまな側面があり、だからこそこんなにも興味深いのだと思います」。
本編中でも観客を圧倒する数々の戦闘シーンだが、兵士たちが着る膨大な衣装についてクロスマンは恐るべき裏話を明かしている。「レンタルすることもできなかったので、衣装の約95%を作り上げました。すべてを時間内に仕上げようと急ぎ、工場が破綻しそうにもなりました。リドリーの仕事の早さにより、ある週は戴冠式、次の週はワーテルローの撮影…」と、まさに驚異の仕事ぶり。しかし、締め切りに間に合い、キャスト全員に衣装を着せたあと、「リドリーは無線で『ワオ、ワオ、ワオ』と言い続けました。それを聞けてとても嬉しく思いました」と彼は振り返る。「映画が完成した今、私たちは一息ついて、実際に自分たちが作り上げたものを見返し、深く誇りに思っています」。
ドレスや軍服など衣装にも注目の『ナポレオン』は12月1日(金)全国の映画館で公開。
ナポレオン
2023年12月1日(金)全国の映画館で公開
STORY
1789年。自由、平等を求めた市民によって始まったフランス革命。マリー・アントワネットは斬首刑に処され、国内の混乱が続く中、天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り皇帝にまで上り詰めた英雄ナポレオン。最愛の妻ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、フランスの最高権力を手に何十万人の命を奪う幾多の戦争を次々と仕掛けていく。冷酷非道かつ怪物的カリスマ性をもって、ヨーロッパ大陸を勢力下に収めていくが――。フランスを守るための戦いが、いつしか侵略、そして征服へと向かっていく。彼を駆り立てたものは一体何だったのか?
・原題:Napoleon
・US公開日:11月22日予定
・監督:リドリー・スコット(『グラディエーター』『オデッセイ』)
・脚本:デヴィッド・スカルパ(『ゲティ家の身代金』)
・出演:ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』『グラディエーター』)、ヴァネッサ・カービー(『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』)
公式サイト www.napoleon-movie.jp
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