ホラー映画の巨匠で、2017年に他界した故ジョージ・A・ロメロ監督の幻の映画『アミューズメント・パーク』が日本公開されたのにあわせて、ロメロ夫人であり、ジョージ・A・ロメロ財団代表のスザンヌ・ロメロから日本に向けてコメント動画が到着した。
『アミューズメント・パーク』は『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)『ゾンビ』(1978)などゾンビ映画の第一人者であり、ホラー映画の巨匠、2017年に他界した故ジョージ・A・ロメロ監督が1973年に手掛けた幻の未発表映画。もともとは年齢差別や高齢者虐待について世間の認識を高めるためにルーテル教会がロメロに依頼した企画だったが、出来上がった作品は老人の悲惨な状況が容赦なく映され、そのあまりにもストレートに当時のアメリカ社会を描いた内容に依頼者は慄き、封印されていた。ホラー映画ではないがロメロの視点で現実を映し出した貴重な作品だ。
半世紀を経て、本作が日本初公開されたのを記念して、同じジョージ・A・ロメロ監督作品『ザ・クレイジーズ』(73年)、 『マーティン/呪われた吸血少年』(77年)も劇場公開中。
このたび到着したコメント動画では、ロメロ夫人のスザンヌ・ロメロが、この類まれな作品の制作経緯、そして、なぜ幻と化したのかを解説している。
「日本の皆さんこんにちは。この映画をお見せすることに今とても興奮しています」と挨拶したスザンヌ・ロメロは「これは実は最もロメロらしい映画なのかもしれません。カットの仕方など彼らしい編集スタイルですし、観た人をどんな気持ちにさせるかもロメロらしいです」と、ロメロ作品としての貴重な映画であることを話してくれる。
また、「現在も議論が続くテーマを扱っていることも重要です」と述べ、「それは私たちが話し合うべきテーマだからです。面白いのは映画が白い部屋から始まることです。希望に満ちた男と打ちひしがれた男がいます。男は遊園地に行き、打ちひしがれて戻ってくる。皆いつかあの遊園地へ行きます。それがこの作品の重要な点で、私たちに問いかけている議論すべきことです」と本作のテーマを語る。

そして最後に「 “映画をエンジョイして”と言いたいですが、みなさんは楽しめないでしょう。 不快を感じ、楽しめないように作られた映画もあるのです。そんなわけで、どうぞ“映画を怖がって”」とこの作品ならではの言い回しで締めくくった。

アミューズメント・パーク
2021年10月15日(金)より新宿シネマカリテにて、ほか全国順次公開中
監督:ジョージ・A・ロメロ
出演:リンカーン・マーゼル
1973年/アメリカ映画/53分/原題:THE AMUSEMENT PARK
キングレコード提供 ビーズインターナショナル配給
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