高校銃乱射事件の被害者家族と加害者家族による緊迫の対話を描く『対峙』(2月10日公開)に7名の映画監督ほか、総勢14名の各界著名人から絶賛コメントが到着した。また、被害者両親と加害者両親4人による、「人生のすべてをかけた対話」のはじまりを捉えた約4分の本編映編が解禁された。
本作は不寛容やリアルな人間関係の希薄さが問題視される現代社会で、「被害者と加害者の対話」という極めて重くセンシティブなテーマを圧倒的な臨場感と手に汗握るスリルをもって描き切る、まさに今見なければならない衝撃作。ほぼ全編にわたって主要キャスト4人による密室の会話劇という斬新でチャレンジングな設定ながら、英国アカデミー賞をはじめ各国の映画賞81部門でノミネート、釜山国際映画祭フラッシュフォワード部門観客賞をはじめ各国の映画賞43部門で受賞。Rotten Tomatoesでは、批評家95%・観客90%FRESH(1月16日時点)という最高級の評価を獲得している。監督を務めるのは、映画『キャビン』などで知られる俳優出身のフラン・クランツ。これが初監督・初脚本作品とは思えない緻密な脚本と演出により、密室4人の限られた設定ながら、どんなスリラーにも勝る衝撃的なほどの緊迫感に満ちた物語に仕上がった。
このたび解禁となった約4分間の本編映像は、アメリカのある高校で起きた生徒による銃乱射事件から6年、事件で息子を殺された“被害者”の両親と、事件を起こした“加害者”の両親が、セラピストの勧めで対面することになるシーン。
本作の舞台となるのは、アメリカのある田舎町の美しい並木通り沿いに建つ小さな教会。その奥にある個室である会合が開かれようとしており、その目的を知る者は念入りに部屋の細部や装飾までチェックし、椅子の位置や、飲み物を置く場所に至るまで細心の注意を払っていた。少しだけ早く到着したのは、この会合に参加するジェイ(ジェイソン・アイザックス)とゲイル(マーサ・プリンプトン)夫妻。映像は、リチャード(リード・バーニー)とリンダ(アン・ダウド)が到着するところから始まる。
会合実現のために仲介をしてきたカウンセラーが、4人に「ついにみなさんが同じ席に。今日ここを出る時に、話してよかったと思えますように」などと言葉をかけ、部屋を後にする。リンダがゲイルに渡すために用意した花は自分で育てたものだというが、ゲイルのお礼はどこかよそよそしく、ジェイはそれをテーブルからどかすことを提案。4人はぎこちなく会話を始めるが、明らかに回りくどく、核心からはほど遠いものだった。しかし、リチャードの「息子を守るためだった」という言葉に、ジェイとゲイルは凍り付く――。
劇中、ここまでのシーンにおいてこの会合の目的は一切語られることはなく、観る者は、ここから始まる4人の会話のみを通じて、その目的や4人の関係、過去と現在、事件によって人生を断裂された4人のことなどについて少しずつ知っていくことになるのだ。
かねてから出演を確約していたというトニー賞俳優である大ベテランのリード・バーニーは、脚本を読んだ時の感想として「ものすごくパワフルだった。ディテール、態度や仕草のニュアンス、人間関係の複雑さに驚かされた。ベテランの脚本家ですらなかなか書けないような見事な脚本を、フランはデビュー作でいきなり書いたんだ」と手放しで称える。
今回あわせて、本作をいち早く鑑賞した7名もの映画監督を含む総勢14名から絶賛コメントが寄せられた(本作予告編にてコメントを解禁ずみの白石和彌監督を含む人数)。
社会派映画で知られる監督達から続々コメントが到着。「映画が何のために存在するのか、その一端を教えてくれた気がします。」などと称賛を惜しまない白石和彌監督に加え、瀬々敬久監督は「シンプルは力強い。本物の映画だ。」などとコメント、映画監督/ディレクターの岸善幸は「事件の後も生きなければならない彼らの心に触れてほしい。」などと語り、映画監督/作家の森達也は「罪と罰とは何か。ここに今の世界の多くの問題が凝縮されている。」などとコメント。そのほか、俳優/映画監督の奥田瑛二、ドキュメンタリー映画監督の坂上香、映画監督の吉田恵輔がそれぞれの視点で映画に迫るコメントを寄せた。
そのほか、精神科医の香山リカは「心の専門家であるはずの私も魂を揺さぶられた。」などと語り、ジャーナリストの浜田敬子は「対峙することの苦しさと、それでもその先にしか一筋の光がないことを知らしめてくれる作品。」などとコメント。演出家の宮本亞門は「これは演劇であり映画であり新たなドキュメンタリー、この時代が産んだ秀作だ。」などと語り、精神科医の名越康文は「絶望的な問いに真正面から挑んだ映画がここに出現した。」などとコメント。また、放送プロデューサーのデーブ・スペクター、法政大学教授の上西充子、L.A.在住映画ジャーナリストの猿渡由紀からもコメントが寄せられた。コメント全文・一覧は以下にて。
『対峙』は2月10日(金) TOHOシネマズシャンテほか全国公開。
『対峙』に寄せられた絶賛コメント(敬称略・順不同)
映画を見て数日経つが、紡ぐ言葉が見つからない。
とにかく凄まじいものを見た。
映画が何のために存在するのか、その一端を教えてくれた気がします。
多くの悲しみと憎悪の溢れる世の中に、静かな光を差し込む映画です。
白石 和彌(映画監督)
自身が生きてきた経験や準備された言葉では言い表すことができず
自問自答を繰り返している。
大切な人の手を握りしめることしかできない。
奥田 瑛二(俳優/映画監督)
シンプルは力強い。
対話のみで加害者と被害者の心の葛藤を描き切った。
人生の残酷と生きることの美しさ。
何度となく出てくる「赦し」という言葉の重さ。
本物の映画だ。
瀬々 敬久(映画監督)
埋めようのない喪失を味わった2組の夫婦が、問いかける。
その先を、私たちはどう生き続けることができるのか?
坂上 香(ドキュメンタリー映画監督)
教会の密室、6年の経過を経て許すか許さないかのサスペンス。
彼らが望む「完結」は得られるのか、最後まで目が離せない。
デーブ・スペクター(放送プロデューサー)
罪と罰と、許し。突きつけられる問いに向きあい続けた親たち。
事件の後も生きなければならない彼らの心に触れてほしい。
岸 善幸(映画監督/ディレクター)
人間の心はとてももろい。でも、とても深い。そして、何度でも再生する。
心の専門家であるはずの私も魂を揺さぶられた。
香山 リカ(精神科医)
他者への想像力。少し広がるだけでも世界は暖かい。
しかし簡単に出来ないのが人間。もどかしさが痛く切ない。
吉田 恵輔(映画監督)
どんなに憎んでいても、赦せなくても、向き合わなければ知ることすらできない。
対峙することの苦しさと、それでもその先にしか一筋の光がないことを知らしめてくれる作品。
浜田 敬子(ジャーナリスト)
映像は一見、何の問題もない暮らしから始まる。
だが4人の親によって子供たちの様子が炙り出される。
社会や個人、加害者や被害者の気持ち、残された者、親や子とは?
誰もが持ちうる混乱、疑惑、不安、恐れを炙り出す。
実にシンプルだ、シンプルゆえに語られてこなかったことを語る彼らの言葉が心に響く。
不安が人を自己的にさせ、分断を生みだす今、対峙し話し合うことは可能か否か?
これは演劇であり映画であり新たなドキュメンタリー、この時代が産んだ秀作だ。
宮本 亞門(演出家)
耳を傾ける者がいて初めて、胸のうちに押し込められた思いは言葉となって姿をあらわす。
上西 充子(法政大学教授)
まさしく密室劇。対峙するのは加害者の家族と被害者の遺族。言葉をぶつけ、憎悪や絶望に身を焦がし、そして慰め合う。言葉にすればひりひり。罪と罰とは何か。ここに今の世界の多くの問題が凝縮されている。
森 達也(映画監督/作家)
現代のアメリカで多発する学校での乱射事件を限りなく近い距離から人間的に見つめる感動の傑作。
4人の役者の演技に大絶賛を送りたい。
猿渡 由紀(L.A.在住映画ジャーナリスト)
赦しだけが魂の救いだとしても、どうして凍てつく心の扉を、開けることなどできるだろうか。
その絶望的な問いに真正面から挑んだ映画がここに出現した。
この作品を通じて、あらゆる意味での人間の勇気を、我々は知ることになるだろう。
名越 康文(精神科医)
対峙
2023年2月10日(金) TOHOシネマズシャンテほか全国公開
STORY
アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。多くの同級生が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年、いまだ息子の死を受け入れられないペリー夫妻は、事件の背景にどういう真実があったのか、何か予兆があったのではないかという思いを募らせていた。夫妻は、セラピストの勧めで、加害者の両親と会って話をする機会を得る。場所は教会の奥の小さな個室、立会人は無し。「お元気ですか?」と、古い知り合い同士のような挨拶をぎこちなく交わす4人。そして遂に、ペリー夫人の「息子さんについて何もかも話してください」という言葉を合図に、誰も結末が予測できない対話が幕を開ける──。
監督・脚本: フラン・クランツ(初監督)、『キャビン』、TVシリーズ「ドールハウス」シリーズ(出演)
出演: リード・バーニー TV「ハウス・オブ・カード 野望の階段」シリーズ、アン・ダウド『へレディタリー/継承』、ジェイソン・アイザックス『ハリー・ポッター』シリーズ、マーサ・プリンプトン『グーニーズ』
2021年アメリカ / 英語 / 111分 / ビスタ / カラー / 5.1ch / 映倫G
配給:トランスフォーマー
© 2020 7 ECCLES STREET LLC
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