フランスの名匠フランソワ・オゾン監督最新作『すべてうまくいきますように』(2月3日公開)に斉藤由貴、磯村勇斗、津田健次郎ら各界の著名人総勢10名から推薦コメントが到着した。また、ソフィー・マルソーとフランス映画界の重鎮アンドレ・デュソリエの共演シーンの本編映像が解禁された。
本作はこれまで新作を発表するたびに異なるテーマで観る者を圧倒してきたフランスの名匠フランソワ・オゾン監督が“安楽死”を巡る父娘の葛藤を描いた感動作。『スイミング・プール』(03)の脚本家エマニュエル・ベルンエイムの自伝的小説を基に映画化。すべての人にいつか必ず訪れる“死”をテーマにしながらも、ユーモアを忘れない会話劇とスタイリッシュな映像で、家族の愛とは何か、人生とは何かを軽やかに問いかける、涙と笑いあふれる感動のドラマを完成させた。主演は『ラ・ブーム』(80)の世界的大ヒットでスーパーアイドルとなり、今なおフランスの国民的俳優として愛され続けるソフィー・マルソー。
新たに解禁された本編映像は、安楽死を望む父(アンドレ・デュソリエ)の希望をかなえようとする娘(ソフィー・マルソー)の葛藤を捉えたシーン。父親役のアンドレ・デュソリエは脳卒中で身体に麻痺が残るアンドレ役を演じるため、頭を剃り、人口装具で口元を変形させ、撮影に臨んでいる。
父・アンドレから安楽死を依頼され、安楽死について調べていた娘のエマニュエルは、ある日、父に対してフランスでは安楽死が違法であることを告げる。「じゃあ、どうする?」と不満げな父に対して、彼女は「スイスの協会から連絡待ち。実行は現地で」と新たな提案をする。満足そうな表情を浮かべる父を見て、彼女は複雑な表情を浮かべるのだった。その後、スイスの安楽死支援協会の女性(ハンナ・シグラ)と連絡が取れ、話はとんとん拍子に進んでいくが、彼女の不安は募るばかりであった…。
あわせて、各界著名人から本作への推薦コメントが到着した。劇場公開に先駆けて本作を鑑賞したのは、俳優の斉藤由貴、磯村勇斗、佐藤玲をはじめ、声優の津田健次郎、映画ライターのSYO、映画『ロストケア』(3月24日公開)で監督・脚本を務めた前田哲、「安楽死を遂げるまで」などの著書で知られるジャーナリストの宮下洋一、スイスで安楽死を試みるまでを綴ったノンフィクション「私の夢はスイスで安楽死」の著者・くらんけ、安楽死を望む少女と止めたい少年の青春を描いた「逢沢小春は死に急ぐ」をウルトラジャンプで連載中の漫画家・胡原おみ、本作の原作者エマニュエル・ベルンエイムの小説の翻訳を手掛けたこともある、フランス文学・哲学研究者の堀茂樹ら総勢10名。コメント全文・一覧は以下のとおり。
『すべてうまくいきますように』は2月3日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ 他公開。
コメント一覧(五十音順・敬称略)
誰にでも訪れる家族との最期の時間。自分だったらどうするのか、思考と感情が行き来する。でも一つ言えるのは、誰にも邪魔できない親子の「愛」が大切なんだ。そう教えてくれた。オゾン監督の作品はとても心があたたかくなる。
磯村勇斗(俳優)
父親から放たれる無遠慮な言葉に翻弄される娘たち。不器用な寄り添いと温度差がもたらす淡々とした展開は限りなくノンフィクションに近いと直感した。
くらんけ(「私の夢はスイスで安楽死」著者)
父のブラック・ユーモアに笑う娘、無言で寄り添う姉妹、短く無遠慮な会話。ひとつひとつのシーンに滲み出る“家族の年季”に親近感と居心地の良さを感じる一方で、これから“安楽死”という結末に向かうことの不安と切なさに胸がしめつけられる。優しさと残酷さが同居する美しい作品です。
胡原おみ(漫画家/「逢沢小春は死に急ぐ」作者)
家族ということ。
父娘ということ。
老いること。
病むこと。
死ぬということ。
送り出すということ。
誰しもいつかは必ずさようならをする、ということ。
全ては移ろいゆくということ。
受けとめること。
受け入れること。
心に残る愛を抱きしめること。
斉藤由貴(俳優・歌手)
オゾン作品は、語り合いたくなる密閉された深密さを持っている。
思わせぶりで洗練された画。
ウィットに富んだ会話と、想起される人間関係。
登場人物の人生を垣間見ると、私も誰かから見た物語の中にいるような気分になる。
佐藤玲(俳優)
前触れもなく日常が変わり、心は後から追いかける。
いつだってそうだ。振り回され、正解はわからない。
外野は正しさを押し付ける。痛みも知らないくせに。
一つだけ信じられるものがあるとしたら、それは愛。
名匠×名優が紡ぐ家族の終焉は、本物で満ちていた。
SYO(物書き)
身勝手な父が押し付けてくる安楽死。その意志を受け入れんとする娘姉妹の葛藤。美と自由を愛する父、世界を拒絶する母、そのまなざしに娘達は映っているのか。長女の生活を切実なテーマと共に淡々と、時にユーモラスに切り取っていく名匠フランソワ・オゾン監督の演出、そして飾らない役者陣の芝居が静かに胸に迫る。
津田健次郎(声優)
安楽死という重いテーマを正面から取り上げ、それを観念的にではなく、人間同士の具体的な感情の交流の中に描き出している。十分にシリアスでありながら悲壮ではなく、ユーモラスでさえある。惚れ惚れするほど洗練された映画だ。
堀 茂樹(フランス文学者)
この胸騒ぎはなんなのだろうか。
そう、人生は美しい!のに・・・、
美しいからこそ、そのような選択もあるのだと、唸らされた。
親を持つ人たち、子も持つ人たち、必見である。
そして、ソフィー・マルソーが、シャーロット・ランプリングが、
とてつもなく素晴らしい!
前田 哲(映画監督)
家族が安楽死をしたいと言ったら? 終末期でなく、まだ生きる望みがあるならば? 死を個人の権利と捉える欧米社会。価値観を異にする日本は、彼ら親子のような決断を下せるのか。「尊厳ある命」とは一体何なのか……。
宮下洋一(ジャーナリスト/「安楽死を遂げるまで」著者)
すべてうまくいきますように
2023年2月3日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ 他公開
監督・脚本:フランソワ・オゾン(『ぼくを葬る』『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』)
出演:ソフィー・マルソー アンドレ・デュソリエ ジェラルディーヌ・ペラス シャーロット・ランプリング ハンナ・シグラ エリック・カラヴァカ グレゴリー・ガドゥボワ
2021│フランス・ベルギー│フランス語・ドイツ語・英語│113分│カラー│アメリカンビスタ│5.1ch│原題:Tout s'est bien passé│字幕翻訳:松浦美奈│映倫区分:G
© 2020 MANDARIN PRODUCTION – FOZ – France 2 CINEMA – PLAYTIME PRODUCTION – SCOPE PICTURES
提供:木下グループ 配給:キノフィルムズ
公式サイト ewf-movie.jp
この記事が気に入ったらフォローしよう
最新情報をお届けします
Twitterでフォローしよう
Follow WEEKEND CINEMA