シャーロット・ウェルズ監督が初長編作品で英国アカデミー賞英国新人賞を受賞した注目作『aftersun/アフターサン』がいよいよ5月26日(金)より公開。このたび、本作を彩るクイーン&デヴィッド・ボウイ、ブラー、R.E.M.などといったヒットソングが、いかにして使用されるに至ったのか、シャーロット・ウェルズ監督が楽曲起用の秘話を明かした。

「あの選曲は本当に予想外でした。編集時にひらめいたんです」

本作は11歳のソフィが父親とふたりきりで過ごした夏休みを、その20年後、父親と同じ年齢になった彼女の視点で綴る物語。2022年カンヌ国際映画祭・批評家週間での上映を皮切りに評判を呼び、話題作を次々と手がけるスタジオA24が北米配給権を獲得。昨年末には複数の海外メディアが「ベストムービー」に挙げ、毎年映画ファンが注目するオバマ元大統領のお気に入り映画にも選出されるなど、本年度を代表する1本となった。監督・脚本は、瑞々しい感性で長編デビューを飾ったスコットランド出身の新星シャーロット・ウェルズ。

ウェルズ監督は本作の脚本を書いていた数年間、イメージした音楽のプレイリストを作り、曲を聴いてはその場所や瞬間にふさわしいと感じてどんどん楽曲が増えていったという。そのうちの何曲かは実際に劇中で使用されている。「私が初めてカセットやCDを買ったのは1997年か1998年頃だったから、サウンドトラックに使う曲はその年代で区切りました。R.E.M.やブラーは父の影響です。ジャンルをミックスし、80年代かそれより古い曲も取り入れて、もう少し“クール”でインディっぽいものにしようとも考えましたが、場所とキャラクターに忠実でありたかったし、その直感のおかげで、ジャンルは様々でもまとまったサウンドトラックに仕上がったと思っています」と自身の自叙伝的な本作ならではの選曲方法を明かした。

シャーロット・ウェルズ監督

本作で最も印象的な楽曲のひとつであるクイーン&デヴィッド・ボウイの『アンダー・プレッシャー』については、「あの選曲は本当に予想外でした。編集時にひらめいたんです」と使用予定がなかったことを明かした。「フレディ・マーキュリーとデヴィッド・ボウイの歌声が素晴らしく、これまでもインスピレーションが欲しい時に聴いていました。だから今回も編集のときに聴いていたんですが、効果はてきめんでした」と当時を振り返る。

はじめは、「これだけ静かな作品なので、どうしても曲の歌詞に意識が向いてしまうのでないかと懸念していました」というが、仮で音源を入れて編集を進めているうちに徐々に“この楽曲しかない”という思いが強くなっていったのだと明かしている。結果的に、登場人物の語られない心の内と歌詞が共鳴し、最も重要な役割を果たす一曲に。監督自身があの曲でなければ成立しなかったと思える納得の選曲となった。登場人物のエモーションに寄り添った楽曲の魅力にも注目だ。

『aftersun/アフターサン』は5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開。

作品情報

aftersun/アフターサン
2023年5月26日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国公開

STORY
11歳の夏、思春期のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす31歳の父親・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。輝く太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、ふたりは親密な時間をともにする。20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、ローファイな映像のなかに大好きだった父の、当時は知らなかった一面を見出してゆく……。

監督・脚本:シャーロット・ウェルズ(初長編監督作品)
出演:ポール・メスカル(ドラマ「ノーマル・ピープル」『ロスト・ドーター』)、フランキー・コリオ、セリア・ロールソン・ホール
プロデューサー:バリー・ジェンキンス(『ムーンライト』)ほか
原題:aftersun/2022年/イギリス・アメリカ/カラー/ビスタ/5.1ch/101分/映倫:G
字幕翻訳:松浦美奈

配給:ハピネットファントム・スタジオ

© Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022

公式サイト happinet-phantom.com/aftersun/

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