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最重要ナチス戦犯のアドルフ・アイヒマン処刑までの最期の日々を史実を基に描いたヒューマンドラマ『6月0日 アイヒマンが処刑された日』が9月8日(金)より全国公開。本作のトークイベントが8月29日(火)に開催され「ナチス映画論」の著者・渋谷哲也教授が登壇した。

「“歴史が明らかになるのは時間が掛かる”というのが大きなテーマにある」

第二次世界大戦時、ナチス親衛隊中佐としてユダヤ人の大量虐殺に関わったアドルフ・アイヒマンは、終戦後逃亡しブエノスアイレスに潜伏していた。しかしイスラエル諜報特務庁により、1960年に捕らえられ、61年12月に有罪が確定。全ての訴状で有罪となったアイヒマンの処刑は、イスラエルの「死刑を行使する唯一の時間」の定めに基づき、1962年5月31日から6月1日の日が変わる真夜中に執行された。

処刑後アイヒマンの遺体を焼却するため、秘密裏に焼却炉の建設が進められる。宗教的・文化的にも火葬を行なわないイスラエルで、この「世界史の大きな節目」に深く関わることとなった焼却炉を作る工場の人々、そこで働く13歳の少年、アイヒマンの刑務官、ホロコーストの生存者である警察官、市井に生きる人々を通して、これまで描かれることのなかったアイヒマン最期の舞台裏がドラマチックに描かれる。

本作で監督・脚本を務めたのはグウィネス・パルトロウの弟のジェイク・パルトロウ。共同脚本にイスラエル出身のトム・ショヴァルを迎え、ヘブライ語で脚本を完成させた。イスラエルとウクライナで撮影された今作は、監督の強いこだわりにより、スーパー16mmフィルムで撮影された。

本作の公開に先駆けて、『ナチス映画論』の著者であり、日本大学文理学部教授/ドイツ映画研究の渋谷哲也教授を招いたトークイベントが開催された。

渋谷教授ははじめに「アドルフ・アイヒマンは色んなところで映画にされてますし、ドイツ映画を学ぶ者としては避けては通れない大きな人物。アイヒマンの裁判については映画『ハンナ・アーレント』が有名かと思います」とナチス戦犯の中でも最重要人物だとアイヒマンのことを説明。

そして「この『6月0日 アイヒマンが処刑された日』にはアイヒマンはほとんど顔が映らない。つまりアイヒマンというのはこの映画の中では、いるんだけれども描写されない空虚。まさにゼロの記号、6月0日の0に相当するような記号としてしか出てきません」とナチス映画では新しいアイヒマンの描かれ方に言及した。

さらに渋谷教授が注目したのは本作の言語について。「イスラエルが舞台なので基本的にはヘブライ語が使われ、主人公のダヴィッドの家族はアラブ系のユダヤ人なので、お父さんはアラビア語を使っている。劇中でモロッコ出身の看守とアイヒマンはスペイン語で話している。そしてアイヒマンが出てくるのに全くドイツ語が使われない。言ってみれば色んな言語が使われていること、これが基本にある。イスラエルという国のユダヤ人にはいろんな出自があるということをはっきり示した映画でもある」と劇中の言語から読み解けるユダヤ人の多様性を指摘する。

「子どもの描写が印象的なアッバス・キアロスタミ作品で出てくるような子どもの描写で映画は始まりますよね。それもイスラエルの一つの顔であるということなんです」と、イランの巨匠監督を彷彿とさせる冒頭シーンについても語った。

ホロコーストについては、「ユダヤ人大量虐殺、迫害の在り方があまりに常軌を逸していて残酷すぎたので、当時や戦後直後も信じる人があまりいなかった。つまりあまりにも歴史的に重い話、そして政治的になかなか表ざたにされない話というのは、歴史に浸透していかないということがあります。なにを隠そう、本作で描かれるアイヒマンが処刑された後どうなったかということも、結局長い間隠されてきたわけなんです。当事者たちも口をつぐんで語ろうとしなかった。それが長い時間かけてようやく明らかになってきた。映画のあのラスト、“歴史が明らかになるのは時間が掛かる”というのが大きなテーマにある。それは実はそもそもホロコーストという歴史がそうであるし、それにまつわる周辺の事実がこうやって時間をかけて明らかにしていかなければならない、ということを伝える映画としては、本作がある意味でいろんなところにベクトルが向いているのは、ジェイク・パルトロウ監督がそんな単純な話ではないということ、普遍的な話であるということ伝えたかったのかなと思いました」と監督の歴史に対するアプローチに想いを馳せた。

「我々が期待するユダヤ人のホロコースト関連の映画からするとかなり違った視点で観せてくれる。にもかかわらずこの中で描かれているある種の深刻な歴史はちゃんと伝わるようになっている。これは本当に新しいタイプの作品だと言える」と本作が数あるナチス映画のなかでも、一線を画していると熱く語る。

「我々日本人も戦争を体験した国に生きているわけで、戦争やその後の記録というものがどれだけ語り継がれているかというのは難しいところがありますよね。じつは我々が当たり前だと思っているナチスのユダヤ人迫害の歴史についても、そんなにみんなが語っているわけではない。隠されてきたことがいっぱいあるし、それくらい重い話であるということは観て考えた方がいいのかなと思います」とメッセージ。

歴史について「アイヒマンを火葬するための焼却炉を作るということが、この映画で重要なことでしたが、それが実はナチスがユダヤ人たちを焼くための焼却炉の設計図をもとに作られたという、ある種の歴史の恐ろしい皮肉です」と本作の印象的なシーンを挙げた。

「1日のうちにアイヒマンを絞首刑にして火葬して、骨も海に捨ててしまった、闇に葬った。皆さんがご覧になった一連の“事件”は、イスラエルの国家的な秘密だったようです。そういう描き方もできたはずです。ところがこの映画は国の政治的ないきさつで描かない。それに関わった普通の人々の目線で描くということを積み上げていっている。だから我々は裏の事情はこれから事実がだんだんと明らかになっていくかと思いますが、それだけじゃなくそこに関わった人たちがどんな気持ちでいたのか。それに我々は目を向け、耳を傾け、語り継いでいく必要があるんだよということを伝える非常に前向きな映画だと思います」と締めくくった。

『6月0日 アイヒマンが処刑された日』は9月8日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開。

作品情報

6月0日 アイヒマンが処刑された日
2023年9月8日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開

監督:ジェイク・パルトロウ 脚本:トム・ショヴァル、ジェイク・パルトロウ
2022年/イスラエル・アメリカ/ヘブライ語/105分/ヨーロピアン・ビスタ/カラー/原題:JUNE ZERO/日本語字幕:齋藤敦子
配給:東京テアトル 宣伝:ロングライド

© THE OVEN FILM PRODUCTION LIMITED PARTERNSHIP

公式サイト rokugatsuzeronichi.com

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