第78回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、第98回アカデミー賞のドイツ代表にも選出された『落下音』が4月3日(金)公開。このたび、壁の隙間から覗く“得体のしれない視線”が観る者を不安に陥れる、ミステリアスな本編シーンが解禁された。
1910年代のアルマ、1940年代のエリカ、1980年代のアンゲリカ、そして現代のレンカ――本作は4つの異なる時代を生きる4人の少女たちが、同じ土地で体験する不可解な出来事を描いた、百年にわたる映像叙事詩。
今回解禁された本編映像は、カメラそのものが“もう一人の登場人物”のように存在感を放つ、印象的なシーン。映像に映し出されるのは、家の使用人ベルタに悪戯を仕掛けた4姉妹の姿。やがて何も知らずに戻ってきたベルタが靴を履いた瞬間、足がつっかえ、そのまま正面から勢いよく床へ倒れ込んでしまう。物陰から様子をうかがい、最初は笑っていた姉妹たち。しかし、ベルタが微動だにしないことに気づいた途端、場の空気は一変。動揺が広がるなか、末っ子アルマはその場に立ち尽くし、動けなくなってしまう――。

一見すると、子どもたちの危険な遊びを捉えた場面。しかし、カメラが捉える壁の隙間から覗く視線はいったい誰のものなのか。時空や視点が歪んだかのような不思議な感覚が漂い、観る者に“謎解き”のような体験を促す構造となっている。
この独特の映像表現は、マーシャ・シリンスキ監督が探求してきた「記憶すること」、そして「自分の行為を別の時間軸から見つめ直す感覚」を映像化する試みから生まれたものであり、1つの画面で主観と客観が交錯する視点は、まさに監督自身の記憶感覚を具現化したものでもある。
インスピレーション源となったのは、記憶・存在・消失をテーマに、自身の身体を被写体とした幻想的なセルフポートレートで知られる写真家フランチェスカ・ウッドマン。シリンスキ監督は次のように語る。「彼女の写真には、透明にきらめく幽体のような像が現れ、漂い、飛翔するようなムードがあります。その感覚にずっと魅了されてきました。同時に、時間が経つほど記憶にヴェールがかかり、“手が届かなくなる”感覚をどう画面に宿らせるかが重要でした」
さらに技術面についても、「最適な方法を見つけるまでには時間がかかりました。レンズを使い分け、ステディカムを多用し、ときにはピンホールカメラまで用いて、疎外や乖離の感触を捉えようとしたのです。最終的に、カメラそのものが登場人物たちの身体の一部のように感じられる瞬間に到達できたと思います」と制作過程を明かしている。
まとめ(注目ポイント)
- 映画『落下音』4月3日(金)公開第78回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、第98回アカデミー賞ドイツ代表にも選出された話題作が全国公開。
- 少女たちの悪戯を捉えた不穏な本編映像が解禁使用人への無邪気な悪戯が引き金となり、姉妹たちが微動だにできなくなる戦慄の本編シーンが新たに解禁。
- 百年にわたる4つの時代と少女を描く映像叙事詩1910年代から現代まで、同じ土地で不可解な体験をする4人の少女たちの不安を描いた百年にわたる映像叙事詩。
- 記憶感覚を具現化した特異なカメラワークマーシャ・シリンスキ監督がピンホールカメラ等を駆使し、主観と客観が交錯する特異な記憶感覚を映像で具現化。
落下音
2026年4月3日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
STORY
1910年代、アルマは同じ村で、自分と同じ名を持つ幼くして死んだ少女の気配に気づく。1940年代、戦争の傷跡が残る中、エリカは片脚を失った叔父への抑えきれない欲望に気づき、自らの得体のしれない影に戸惑う。1980年代、アンゲリカは常に肌にまとわりつく“何か”の視線に怯えていた。そして現代、家族と共に移り住んだレンカは、自分の存在が消えてしまいそうな孤独感に徐々に侵食されていく。百年の時を経て響き合う彼女たちの「不安」が、この北ドイツの農場を静かに覆いつくしていく――。
監督・脚本:マーシャ・シリンスキ
出演:ハンナ・ヘクト、レア・ドリンダ、レーナ・ウルツェンドフスキー、レーニ・ガイゼラー
配給:NOROSHI ギャガ|英題:SOUND OF FALLING |2025年|ドイツ|カラー|ビスタ|5.1ch|155分|字幕翻訳:吉川美奈子|PG-12
© Fabian Gamper - Studio Zentral




