幼少期の“性別の揺らぎ“に対する認知と受容を喚起するドキュメンタリー映画『リトル・ガール』より本編特別映像が解禁された。出生時に割り当てられた性別は“男性”、しかし、女の子として生きたいサシャが、これまでの自分と家族を肯定してくれる存在にようやく出会い、思わず涙が溢れ出すシーンが切り取られている。

「あなたは間違っていない」

サシャは2歳を過ぎた頃から自身の“性別の違和感”を訴えてきたが、社会は彼女を“他の子ども”と同じように扱えずにいた。やがて7歳になってもありのままに生きることができない、不自由なサシャ。家族はそんな彼女の個性を支え、周囲に受け入れさせるため、学校や周囲へ働きかけるのだが……。本作はさまざまな社会の壁に阻まれながらも、まだ幼く自分の身を守る術を持たない彼女の幸せを守るために奔走する家族とサシャの“ゆずれない闘い”を映し出した心震えるドキュメンタリー映画だ。

今回解禁されたのは、サシャと母親が小児精神科医と対話するシーン。自身の性別違和をなかなか社会に受け入れてもらえず疲弊しきっていたサシャと母親は小児精神科医にこれまでのことや疑問を打ち明けていく。

「女性の服を着せたり、女の子と呼んでも問題はない?」母親は不安げに尋ねるが、医者ははっきりと「子供の望みどおりにして構いません、親なら誰でもそれが正しいと思うでしょう」「あなたから女性の服を着せたわけではない。性別違和が原因です。あなたは間違っていない、あなたは親として正しい選択をしました」と告げる。

これまでの肩の荷が少しだけ降りるかのようにホッとした表情の母親。そして同時に、母の手を強く握りしめるサシャ。「ママは正しいってこと?」優しく医者が語り変えると、やがてサシャは目にいっぱいの涙を溜めながら、静かに同意する。

まだ7歳の小さな子供にも関わらず、周囲のことを気遣いながら生きてきた彼女の優しさと強さが詰まったシーン映像となっている。

本作は2020年ベルリン国際映画祭で上映後、モントリオール国際ドキュメンタリー映画祭のピープルズ・チョイス賞やシカゴ国際映画祭国際ドキュメンタリーコンペティション部門 シルバー・ヒューゴ賞など、世界中で様々な映画賞を受賞、また、コロナウイルス感染の影響により劇場が封鎖されたフランスでは、同年12月にTV局ARTEにて放送され、視聴者数1,375,000人、その年のドキュメンタリーとしては最高視聴率(5.7%)を獲得。オンラインでも28万回以上の再生数を記録するなど大きな反響を呼んだ。

『リトル・ガール』は11月19日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。

作品情報

リトル・ガール
2021年11月19日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

監督:セバスチャン・リフシッツ
020年/カラー/フランス/フランス語/85分/原題:Petite fille/英題:Little Girl/字幕翻訳:橋本裕充/字幕協力:東京国際映画祭/後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本

配給:サンリスフィルム

© AGAT FILMS & CIE – ARTE France – Final Cut For real - 2020

公式サイト:https://senlisfilms.jp/littlegirl

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