マチュー・アマルリック監督最新作『彼⼥のいない部屋』(8月26日公開)に人気漫画家・板垣巴留より2つのコメントが到着した。“2つ”のコメントの理由、そして板垣巴留とマチュー・アマルリック監督の知られざる関係とは?

マチュー・アマルリック監督
アマルリック独特の目元は、まさにレゴシ!

昨年のカンヌ国際映画祭に新設されたカンヌ・プレミア部⾨に選ばれ、フランスのセザール賞で主要部⾨にノミネートされた『彼⼥のいない部屋』は、フランス映画界を代表する名優で名監督であるマチュー・アマルリックが監督・脚本を務め、その「最⾼傑作」と⾼く評価されている最新作。主⼈公を演じるのは、いま“ヨーロッパ No.1 ⼥優”とも⾔われ、今年のカンヌある視点部⾨⼥優賞にも輝いたヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)。海外資料にあるストーリーは「家出をした⼥性の物語、のようだ」という 1 ⾏のみという話題作である。

このたび『BEASTARS』で知られる人気漫画家・板垣巴留が、本作に2つのコメントを寄せた。2018年に主要マンガ賞を総なめし、2019 年、2021 年に TV アニメも放送された『BEASTARS』。ハイイロオオカミのレゴシを主人公とした動物版青春ヒューマンドラマで、動物を擬人化したファンタジーであるはずなのに、読者にリアルな共感を呼んだ大人気作だ。

実は、そのレゴシ、大の映画ファンである板垣巴留が、マチュー・アマルリックの「顔」をモデルに創作したのだという。確かに、アマルリック独特の目元は、まさにレゴシ!

©板垣巴留(秋田書店)2017

ちなみに名前の「レゴシ」も、戦前に活躍して“ドラキュラ俳優”とも呼ばれ一世を風靡したベラ・ルゴシからとったそうで、板垣の映画ファン度は筋金入り。そんな彼女が「今年これまで見た中でも強く印象に残っている」というのが、マチュー・アマルリック監督の『彼女のいない部屋』なのだ。公開前に鑑賞したきっかけは、レゴシの顔のモデルがアマルリックと知った配給会社に声をかけられたことだが、映画の感動を2つのコメントに託すことになった。

©板垣巴留(秋田書店)2017

1 つは、「人に忘れてもらうため、人を忘れるため、人は旅に出るのだと感じました。前向きな旅ほど、おそらく。」というキャラクターの多面性を深く掘り下げる板垣らしい言葉。

そしてもう 1 つは、「確かな記憶のはずが、××××××とわかり、頭が混乱したことは誰でもあるはず。脳内を彷徨うようなあの混乱の出口に、こんな美しい物語が待っているとは。」(原文は伏せ字なし)。

こちらは、「観る前の人に、何が起きたかは言わないで」というアマルリック監督の要望を尊重し、鑑賞者用のパンフレット以外では「伏せ字」で表現するというユニークなもの。当初、板垣側からはどちらか一方でもということだったが、「2つがあることで、板垣先生が映画をどうみたかがより立体的に見えてくる」という配給会社の判断で、今回は珍しく2つのコメントを公表。

なお板垣巴留は、最新作『SANDA』を週刊少年チャンピオンで連載中。たくさんの映画から得た感動も、独特な世界観に反映される板垣ワールドはさらに進化しているといえるだろう。

『彼女のいない部屋』は8月26日(金)より公開。

『彼女のいない部屋』に寄せて 板垣巴留コメント(2種)

人に忘れてもらうため、
人を忘れるため、
人は旅に出るのだと感じました。
前向きな旅ほど、おそらく。
漫画家 板垣巴留


確かな記憶のはずが、
××××××××××××とわかり、
頭が混乱したことは誰でもあるはず。
脳内を彷徨うようなあの混乱の出口に、
こんな美しい物語が待っているとは。
漫画家 板垣巴留

作品情報

彼⼥のいない部屋
2022年8月26日(金)より、Bunkamura ル・シネマ他全国順次公開

原題:SERRE MOI FORT /英語題:HOLD ME TIGHT
監督: マチュー・アマルリック|出演:ヴィッキー・クリープス(『ファントム・スレッド』『オールド』)、アリエ・ワルトアルテ(『Girl/ガール』)
2021 年|フランス|97 分|DCP|カラー|日本語字幕:横井和子

配給:ムヴィオラ

© 2021 - LES FILMS DU POISSON – GAUMONT – ARTE FRANCE CINEMA – LUPA FILM

公式サイト  http://moviola.jp/kanojo

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