レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作とされる名画「サルバトール・ムンディ」=通称「男性版モナ・リザ」をめぐるミステリー・ノンフィクションムービー『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』のトークイベントが11月6日(土)に開催。登録数25万人超というYoutube番組「オトナの教養講座」が大人気の美術評論家の山田五郎が登壇し、本作をきっかけに“世界のアートとお金と闇”の裏側を語り尽くした。

『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』は 史上最高額となる510億円で落札されたレオナルド・ダ・ヴィンチの最後の傑作とされる「サルバトール・ムンディ」=通称「男性版モナ・リザ」をめぐる謎を通して、知られざるアート界のからくり、闇の金銭取引の実態までも生々しく暴いていくドキュメンタリー映画。
まずは、本作でもテーマとなる現代の美術界の問題点を説明する山田五郎。どんどんマーケットが巨大化していく美術のマーケットについて「アラブ、ロシア、中国あたりの金が入るようになったここ20年くらいに、余ったお金が全部アートにつぎこまれるようになった」「アートってマネーロンダリングの最適なアイテムなんだよね」と、未だ日本でも戦後最大の未解明事件の一つと言われる、アートマーケットの闇の部分が絡む<イトマン事件>を引き合いに解説、「アート取引ってさ、インサイダー取引OKの、株取引と同じだよね?」「操作可能な仮想通貨だと思う」と自身の解釈を述べた。
未だ本物かどうか決着がついてないままオークションで高額取引されることになった「サルバトール・ムンディ」が、オークションのマーケティングの一環として、絵画を見て感動の涙を流す人の映像を利用、そのPVを作成し、プロモーションとして活用されていたことにも触れ、「今、オークショニアってここまでやるんだ」と感服する。

しかし、未だ真偽が決着がつかない本作に絡んで、「本物よりいい偽物ってあったりするじゃん?」「<《無化調のラーメンはうまい!》って感動してる人に<それ偽物ですよ>とは、人の良心としては言えないよね。その感動は本物なワケだし」。それゆえに「(もし、この絵画の真偽鑑定の話が来たら)俺は答えを出したくない。ずっと保留にしたい」と葛藤を告白した。
紆余曲折を経てサウジアラビアの皇太子がこの作品を510億円で手に入れたことについては「サウジにとって510億って、我々にとって510万くらいの金だよね、きっと(笑)」「その辺りは金持ちが好きにしてくれたらいいけどさ、そのおかげで我々が見れなくなるのは困るよな」と悩ましい本心を吐露、「バブルの頃に日本が買って、今どこにあるかわかんなくなってる作品も相当あるんだよね」と語った。
そして最後に「前澤友作さんが買った長谷川等伯の作品は、ぜひ、東京国立博物館に寄託してほしいんだよね!」「こんなこと言うとSNS炎上するかもしれないけど!(笑)ぜひ、皆で声をあげてほしいなと思う」「みんなに見せてこその金持ちだと思うんだよね」「今日、来場者の皆さんに、フリーポート(無関税の保管施設)に持っている人がいたら、ぜひみんなが見られるようにしてほしいなと思います」と、山田節を炸裂させた。
『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』は11月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー。
ダ・ヴィンチは誰に微笑む
2021年11月26日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
監督:アントワーヌ・ヴィトキーヌ 原題:The Savior For Sale/100分/フランス映画/カラー/ヴィスタ/5.1chデジタル/
字幕翻訳:松岡葉子
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