台湾映画の音に関わる職人たちを描いたドキュメンタリー映画『擬音 A FOLEY ARTIST』(11月19日公開)に、田中麗奈、入山法子ら総勢11人から絶賛コメントが到着した。またワン・ワンロー監督から日本公開を喜ぶメッセージ動画が寄せられた。
雑多なモノが溢れるスタジオで、映画の登場人物の動きやシーン、雰囲気を追いながら、想像もつかないような道具と技を駆使してあらゆる生の音を作り出す職人、フォーリーアーティスト。本作は金馬奨に多数ノミネートされ台湾映画界の生きるレジェンドとして知られるフー・ディンイーの40年に及ぶフォーリー人生を記録したドキュメンタリー。70本を超えるフーの担当作品への言及を中心に、ホウ・シャオシェン、ワン・トン、エドワード・ヤンなど、台湾映画が広く世界に認知された1980年代のニューシネマの登場、そしてそれ以前の台湾映画も垣間見ることができる貴重な記録となっている。
このたび本作にコメントを寄せたのは、田中麗奈、入山法子をはじめ、『クリード 炎の宿敵』(2019)、『メリーポピンズ リターンズ』(2018)、『ブレードランナー 2049』(2017)など大作のフォーリーを多数手がけ世界的に活躍する日本人フォーリーアーティストの小山吾郎、映画の裏方で活躍する職人たち、翻訳家、台湾映画のスペシャリストら総勢11人。コメント全文・一覧は記事下にて。
あわせて到着したメッセージ動画では、ワン・ワンロー監督が「やっと日本での公開が実現して皆さんにも観てもらえることになり、本当に感慨深いものでとても嬉しく思っています。フォーリー(擬音)という特殊な職業を紹介するこの映画、皆さんにも気に入ってもらえると大変嬉しい」と日本公開に喜びの声を寄せている。
公開2週目となる11月26日(土)にはワン監督が来日し、新宿K’s cinemaにて上映後トークイベントが開催される予定。
『擬音 A FOLEY ARTIST』は11月19日(土)より新宿 K’s cinema ほか全国順次公開。
応援コメント一覧
テクテク、ガッシャン、ゴトンゴトン。小道具の山の中から飛び出す音たちはとにかく愉快!フォーリースタジオは音の宝箱だ。その蓋を、伝説の足音職人フー・ディンイー氏が開けて見せてくれる。台湾映画の複雑な歴史と、それを生きてきた巨匠たちのスゴい話が聞ける貴重なドキュメント。
◆小山吾郎 (フォーリーアーティスト)
台湾映画を支えていたフォーリーアーティストの存在を初めて知った。
私たちが日常で普段使っているあんなものやこんなもの、たとえばゴミのようなものさえも、彼の手に掛かるとたちまち生き物となり音を出し始める!!正に映画界の魔術師です。
◆田中麗奈(俳優)
自分の捨てきれない「好き」を、力の限りやり続ける。
もっと聞かせて!もっと教えて!と話しかけたくなる。
古さや新しさの壁を越えて、何を守り、何に情熱を捧げようか。
これから作っていきたい、理想の風景を想像しました。
◆入山法子(女優)
身の周りの品々で効果音を創作し画面に貼り付けるフォーリー・アーティストのファンタジックな音響哲学は、同時録音=リアリズムの時代の到来で転換を余儀なくされる。その画期を越えてなお至高の音を追求する寡黙な台湾映画人の姿から、知られざる東アジアの映画史が見えてくる。
◆石坂健治(東京国際映画祭シニア・プログラマー/日本映画大学教授)
『ようこそ映画音響の世界へ』が世界最大の映画帝国における音響ヒーロー達の「アベンジャーズ」だとすれば、この映画はアジアの小国のダンジョン(映画界)でフォーリーアーティストという職に辿り着き、技術を磨いて生き抜いた寡黙な男の静かな冒険の物語だ
◆北田雅也(音響演出/フォーリーアーティスト)
フーさんの音作り人生を敬意を込めて描いた『擬音』には、台湾ニューシネマをはじめ映画の宝物が満載で感激の連続でした。侯孝賢監督と脚本家の朱天文さんが出会うきっかけを作った『少年』の1シーンもやっと観られました!
◆樋口裕子(翻訳家)
胡定一という先達の姿を拝して、彼の自分の仕事に対する誠実さとその創造力に、私は敬意を覚える。その一方でこの作品が完成された後もなお、台湾映画業界が更なる変容を続けている事実を思う。その変遷が温故知新であることを願い、本作品がそのきっかけにもなるのではないのか、と考えたりした。
◆小坂史子(映画制作業)
音を創る。想像力と創造力を駆使し、アナログ的手法で生み出されていく効果音の数々。これらをアートとして昇華させ、総合芸術である映画のパーツとして組み込んでいくフォーリー・アーティスト。デジタル化時代に向き合う職人としての葛藤と矜持、そして悲哀。華語映画史のアナザー・ストーリー。
◆馬場克樹(俳優・ラジオパーソナリティ)
台湾映画はどのように音と関わってきたのだろう。台湾ニューシネマは、耳を澄ませば世界には様々な音があり、無意味に思える音も気配となって世界を形創っていることに気づいた。だから、フー・ディンイーは映画に音で生命力を与える。手法はアナログだがぬくもりがある。
◆稲見公仁子(台湾映画研究家)
新世代の音響作家たちの自信と希望に溢れる姿が印象に残る。映画の中である音響監督が語っていた「我々は外国に30年以上遅れをとっていた。だが現在は世界と対等に実力で戦える。我々の業界はまだ発展途上だ」という意味の言葉を私たち日本の音響技術者は深く心に留めるべきである。
◆弦巻裕(映画録音技師/Sound Design YURTA)
『映画を見る際必ず映画館で見るべきだ』と映画通の人はよく口にする。
その理由の一つは映画館だけでしか感じることのできない音だと私は思います。
その音を作ってきた胡定一氏を中心に台湾映画界のレジェンド達の話が出てくる度に鳥肌が立ち、台湾の映画と関わってきた私自身も初めて知る事など、中華圏の映画を作る人達の過去や未来、情熱が一度に感じれる重厚な映画でした。
◆朝井大智(俳優)
擬音 A FOLEY ARTIST
2022年11月19日(土)より新宿 K’s cinema ほか全国順次公開
監督|ワン・ワンロー(王婉柔)
出演|フー・ディンイー(胡定一)、台湾映画製作者たち
製作総指揮|チェン・ジュアンシン 製作|リー・ジュンリャン
撮影|カン・チャンリー サウンドデザイン|ツァオ・ユエンフォン 編集|マオ・シャオイー
共同製作|行人股份有限公司 配給|牽猴子整合行銷股份有限公司 協力|国家文化芸術基金会
後援|台北駐日経済文化代表処台湾文化センター 特別協力|東京国際映画祭
日本語字幕|神部明世 配給・宣伝|太秦
2017|台湾|カラー|DCP|5.1ch|100 分
ⒸWan-Jo Wang
公式サイト foley-artist.jp
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