常に時代の美的価値に挑戦し、服の概念を解体し続けたデザイナー、マルタン・マルジェラ。キャリアを通して⼀切公の場に姿を現さず、あらゆる取材や撮影を断り続け匿名性を貫いきた彼が初めて制作に協⼒し、ついに沈黙を破ったドキュメンタリー映画『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』が9⽉17⽇(⾦)より全国順次公開。このたび、マルジェラの代名詞とも言える「足袋ブーツ」の誕生秘話についてマルジェラ本人が語る本編映像が到着した。

本作の監督のライナー・ホルツェマーは、難攻不落と思われたマルジェラ本⼈の信頼を勝ち取り、「このドキュメンタリーのためだけ」という条件のもと、ドローイングや膨⼤なメモ、初めて⾃分で作ったバービー⼈形の服などプライベートな記録を初公開。ドレスメーカーの祖⺟からの影響、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、ヒット作となった⾜袋ブーツの誕⽣、世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、そして51歳にして突然の引退――これまで⼀切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについてカメラの前でマルジェラ⾃⾝が語る、貴重なドキュメンタリーを作り上げた。
そんなマルジェラの代名詞とも言えるヒット作が“足袋ブーツ”。今回解禁された本編映像は、そんな足袋ブーツの誕生秘話について、マルジェラ自身が語る超貴重なシーンだ。
こだわりのシルエットを目指す中、苦心のすえに生まれたこの足袋ブーツについて、「見たこともない形の靴を生み出そうとするとものすごく大変だ。僕は苦しみながら初めて東京に行ったときをふと思い出した。その時、僕らは路上で地下足袋姿の作業員を見た。僕は思った。“柔らかい足袋にヒールをつけてみようか”」とその誕生秘話を振り返っている。
映像では、古い箱から取り出された足袋ブーツの木型やブーツそのものが手にとられる様子も映し出されており、マルジェラ本人の足袋ブーツに対する思い入れが感じられる。

マルジェラで初めて足袋ブーツが発表されたのが、今からおよそ 30 年前となる 1989 年。いまでは、他のブランドからも同様のデザインのブーツが発売されるほどの人気ぶりを博し、まさに時代を先取りしたモードの革命児としての存在感を今なお、強烈に放っている。
劇中では足袋ブーツ誕生秘話の他、メゾン マルタン マルジェラの象徴ともいえる白いタグが生まれた経緯についても明かされており、これまですべてが謎に包まれていたというのが信じられないほど、本人が赤裸々に、これまでのキャリアやプライベートに至るまでの全貌を語り明かしている。
難攻不落のマルジェラから信頼を勝ち取り、このドキュメンタリーを完成させたホルツェマー監督は「最終的には、人々が彼に会ったような、あるいは彼を見たような感覚を持つことができるのではないかと思うよ」と明かすほど、マルジェラのすべてに迫った本作。天才デザイナーと呼ばれるひとりの男の哲学、美学、仕事術が詰まった本作は、ファッション好きはもちろん、そうでない人も必見のドキュメンタリー映画となっている。
マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”
2021年9月17日(金)より全国順次公開
渋谷ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか
Martin Margiela: In His Own Words(ドイツ、ベルギー/2019 年/90 分/16:9/英語、フランス語)
監督・脚本・撮影:ライナー・ホルツェマー(『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』)/撮影:トゥーン・イレハム/編集:ヘルマー・ユングマン/音楽:dEUS/出演:マルタン・マルジェラ(声のみ)、ジャン=ポール・ゴルチエ、カリーヌ・ロワトフェルド、リドヴィッジ・エデルコート、キャシー・ホリン、オリヴィエ・サイヤールほか 日本語字幕:額賀深雪
配給:アップリンク
© 2019 Reiner Holzemer Film ‒ RTBF ‒ Aminata Productions