フランス・イタリア合作アニメーション映画『シチリアを征服したクマ王国の物語』(1⽉14⽇公開)を監督したロレンツォ・マトッティのインタビュー動画が解禁された。また、公開⽇より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺では本作を2回観た⽅に⾮売品タブロイド版プレスをプレゼントすることも決定した。
イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが唯⼀イラストも⼿がけた児童⽂学を映画化した本作。原作はイタリアの⼦供新聞「ピッコリ・コッリエーレ」に1章ずつ掲載された。その後、ブッツァーティは姪のために絵を描き始め、本にするに当たって物語を⼿直ししながら、挿絵を⾜し込んで 1945 年に本を上梓した。その不条理で幻想的な作⾵から「イタリアのカフカ」と呼ばれることも多いブッツァーティは今年、没50周年となる。
本作の監督のロレンツォ・マトッティはヴェネツィア⼤学で建築を学んだのちマンガの道を志す。『ザ・ニューヨーカー』、『ル・モンド』、『コスモポリタン』といった新聞・雑誌でイラストレーターとして活躍。1982 年には『Le signor Spartaco』でバンデシネ作家としてデビュー。⾼い評価を得て、以降、絵本、アニメと活躍の場を広げる。ファッションとのつながりも深く、ルイ・ヴィトンが発⾏したトラベルブックコレクション・ベトナム編を担当している。フランス・イタリアを代表するアーティストの⼀⼈だ。
カンヌ国際映画祭・ヴェネチア国際映画祭、直近では 2021 年 10 ⽉にヴェネツィアで開催された第 11 回カフォスカリ短編映画祭のポスターイラストを担当。アントニオーニの『エロスの誘惑』内に、彼の作品「NELLʼACQUA」がアニメーションとして挿⼊されている。第 76 回ヴェネツィア国際映画祭ではオープニングムービーを⼿がけた。フェリーニやパゾリーニ、オーソン・ウェルズといった監督たちからの影響を公⾔している。建築学と⻄洋美術に裏打ちされた確かなデッサン⼒とイタリアの DNA を感じさせる⾚・緑・⻘を基調とした美しい⾊彩が特徴的で、国際的に⾼い評価を得ている。
⽇本公開に向けて、マトッティ監督は「“アニメーションの国”で⾃分の作品が上映されるという感動に加えて、今回の配給をとても嬉しく思っています」とコメント。コロナ禍でなければ来⽇したかった、というほどの親⽇家だ。
今回解禁となるインタビュー動画では、マトッティ監督が原作とブッツァーティの魅⼒について語っている。ブッツァーティから⼤きな影響を受けていると語るマトッティ監督。彼を魅了したのはブッツァーティの“謎めいた部分”だという。
原作については「本作のストーリーはとても重層的で、様々なテーマを秘めた名作です。なぜこれまで映像化しなかったのか不思議なほどです」と語る。
また動画内では⾔っていないが、ユーモアに富んだ⽐喩を⽤いることで時間を超えて、幾世代もの⼈々へ語りかける⼒がこの原作にはあると語る。そのため、ヨーロッパでは半世紀以上にわたって読み継がれているロングセラーとなっているのだ。本作の劇中ではブッツァーティの原作の挿絵も登場するので必⾒。
「ブッツァーティのアイデアを⾃⾝のスタイルに変えるところから始めた」とのことだが、映画は原作のクマより実際のクマに近い頭⾝で描かれ、⽴体感のあるクマとなっている。また原作にはいない語り部のジェデオンとアルメリーナ、そして⽼クマが映画には登場する。レオンスが本能と指導⼒を失い、クマたちが少しずつ⼈間ぽくなり、⼈間の悪徳に染まることまでしか描かれていない原作に対し、映画ではトニオのキャラクターに⼒を⼊れ、⼈間との関わりを作るため、⼥性のアルメリーナが存在する。⽇本やアメリカのアニメーションと違う、マトッティ監督が⽣まれ育ったヨーロッパならではの寓話。「作品ごとにふさわしいスタイルを⾒つけ⼦供たちの想像⼒を⾶翔させるべきです」と語るマトッティ監督。⽇本では、⼤⼈も、⼦どもも楽しめる吹替版の上映もあるので親⼦で堪能できる。
そして、1⽉14⽇(⾦)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺にて本作を2回観た⽅に⾮売品タブロイド版プレスをプレゼントすることが決定。新宿武蔵野館またはアップリンク吉祥寺の異なる上映時間の『シチリアを征服したクマ王国の物語』半券を2枚持って劇場窓⼝で提⽰。本キャンペーンはなくなり次第終了となる。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』は1月14日(金)新宿武蔵野館・アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー。
シチリアを征服したクマ王国の物語
2022年1月14日(金)新宿武蔵野館・アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー
STORY
とおいむかしのこと、いただきが氷でとざされた⾼い⼭に住むクマたちの王レオンスの息⼦トニオがハンター達によって捕えられてしまう。王は我が⼦を救出するべく、厳しい冬の飢えと寒さからクマ達を引き連れ、⼈間が住む平地を⽬指し⼭を降りていく。⾏く⼿に待ち受けるのは残忍な⼤公や、化け猫、⼈⾷い⻤。ゆうれいもいれば魔法使いもいる。突き進むレオンス王は戦いの末、その国の王として、クマと⼈間が共存する太平の世を迎えた。クマと⼈間の共存はやがて――。
監督・グラフィックデザイン:ロレンツォ・マトッティ 脚本:トマ・ビデガン、ジャン=リュック・フロマンタル、ロレンツォ・マトッティ 制作プロダクション:プリマ・リネア・プロダクションズ(『レッドタートル ある島の物語』)Pathé France 3 Cinéma Indigo Film with Rai Cinema アニメーション・スタジオ:3.0 studio
原作:ディーノ・ブッツァーティ『シチリアを征服したクマ王国の物語』(福音館書店 刊)
日本語字幕:井村 千瑞 提供:トムス・エンタテインメント、ミラクルヴォイス 後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
フランス・イタリア合作/2019年/カラー/82分/ビスタサイズ/5.1ch/フランス語/原題:LA FAMEUSE INVASION DES OURS EN SICILE
配給:ミラクルヴォイス
©2019 PRIMA LINEA PRODUCTIONS - PATHÉ FILMS - FRANCE 3 CINÉMA - INDIGO FILM
公式サイト:kuma-kingdom.com
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