実在の巨匠指揮者率いる楽団にインスパイアされた感動作『クレッシェンド 音楽の架け橋』がいよいよ今週末1月28日(金)より全国公開。このたび本作のプロデューサーを務めたアリス・ブラウナーのインタビューが到着。これまでも音楽をテーマにしてきた映画に携わってきた彼女が「今伝えたいメッセージ」とは?

本作はヨーロッパからアメリカまで、様々な地域の国際映画祭で上映され、熱い喝采のもと4つの観客賞に輝いた話題作。“世界で最も解決が難しい”とされる紛争で今この時も闘うパレスチナとイスラエルの音楽家の若者たちが、対立や葛藤を乗り越えてオーケストラを結成するという、驚きの実話にインスパイアされた物語だ。和平コンサートが目前に迫った21日間の合宿で、激しく憎しみをぶつけ合う団員たち。ラストに待つ、あらゆる障害を乗り越えた“魂の演奏”とは──? 若者たちを導くマエストロを『ありがとう、トニ・エルドマン』で絶賛されたペーター・シモニシェックが演じている。

本作のプロデューサーを務めたのはベルリン出身で脚本家としても活躍するアリス・ブラウナー。2011年製作、ナチス・ドイツに侵攻されたウクライナで、生き残りを賭けてバイオリンを演奏した子どもたちの物語を描くドラマ『命をつなぐバイオリン』でもプロデューサーを務めるなど、これまでにも音楽をテーマとした映画に携わってきた。
本作で描かれている、長年対立を続けるパレスチナとイスラエルの紛争について、彼女は「私はこの地球上に、イスラエルとパレスチナの対立問題の難しさに影響を受けていない人はいないと思います。中東だけでなく、もはやどこにも平和など訪れないのではないかという悲観さえ覚える。そしてその悲観論はまるで、“クレッシェンド”という言葉そのもののように、より強く、日に日に音を増してきています」と語る。
さらに社会の分断について警告を鳴らす彼女。「数十年かけて積み上げてきた国際理解やそれに伴う貴重な文化交流という努力を無に帰す危険性があるだけではなく、人間性そのものから遠ざかってしまっているのです」。
そんな現代に生きる若者たちへ、次のようにその想いを伝えている。「未来を担っていく若者たちに向けて、他者への献身や寛容さを身をもって示すことはとても大切なのです。異なる文化を持つ個々人への理解は平和な共存への大切な一歩です」。

対立する二つの民族出身でいがみ合う楽団員たちが、音楽を通じて徐々にお互いを理解していく姿が描かれている本作。最後に、彼女は音楽が持つ力について「音楽は私たちをひとつにし、異なる文化や国籍を繋ぎあわせます。言葉以上の力を持っているのです」とし、「本作の目的は老若男女の観客が、ただ平和について語るだけではなく、どのように実現させるかについて、考えてもらうことにあります」と訴えた。
『クレッシェンド 音楽の架け橋』は1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開。
クレッシェンド 音楽の架け橋
2022年1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
監督:ドロール・ザハヴィ 主演:ペーター・シモニシェック 2019年/ドイツ/英語・ドイツ語・ヘブライ語・アラビア語/112分/スコープ/カラー/5.1ch/原題:CRESCENDO #makemusicnotwar/日本語字幕:牧野琴子/字幕監修:細田和江
配給:松竹
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