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『ポセイドン・アドベンチャー』他数々の名作を生みだした小説家ポール・ギャリコの原作「ハリスおばさんパリへ行く」を映画化した『ミセス・ハリス、パリへ行く』(11月18日公開)の試写会が11月2日(水)に都内で開催され、上映後には映画コメンテーターのLiLiCoと映画ライターでファッションにも造詣の深いよしひろまさみちによるトークイベントが実施された。

「『この洋服、(私を)呼んでる!』っていう瞬間、わかる!」

本作は第二次世界大戦後の1950年代、ディオールの美しいドレスに魅せられ、ロンドンからパリへと渡って大冒険を繰り広げる家政婦ミセス・ハリスの物語。夢をあきらめなかった彼女に起きる、素敵な奇跡とは? いくつになっても夢を忘れないミセス・ハリスから勇気をもらえるハッピーストーリーだ。主演を務めるのは『ファントム・スレッド』でアカデミー賞にノミネートされたレスリー・マンヴィル。『ピアニスト』『エル ELLE』のイザベル・ユペールが共演。

『ミセス・ハリス、パリへ行く』

家政婦のミセス・ハリスが、ディオールのドレスに魅せられ、そこから驚くべき行動力で周囲を巻き込みながら人生を変えていくさまを描く本作について、よしひろは「どんなブランドでもいいんだけど、『私、呼ばれてる! この洋服、(私を)呼んでる!』っていう瞬間、わかる!」とミセス・ハリスへの共感を口にする。

LiLiCoは、まさにそんな物語にちなんでこの日、20年前に母国スウェーデンでひとめ惚れして購入したというお気に入りのドレスで登場! 8万円ほどしたとのことだが20年前はいまほど売れっ子ではなく「クレジットカードを持っていなかった(笑)」ということで、「これは一生もの」と自らを納得させつつ、背伸びして思いきって買ったという。

ちなみに、劇中でミセス・ハリスが魅せられたドレスは500ポンドとされているが、現在の日本円に換算すると250万~400万円とのこと。LiLiCoは「せいぜい100万円くらいかと思ったら…。それを(家政婦の仕事で)貯めようというバイタリティがすごい!」と驚嘆しつつ「これは惚れるでしょ」とうなずく。

よしひろは、本作について「お針子さんが採寸して…というオートクチュールの裏側まで見せてくれたところがすごく良かった」と当時のファッション界の状況が描かれている点について指摘し、LiLiCoも「洋服のことだけじゃなく『(服以外の)いろんなものを出したらいいんじゃない?』とアイディアを出して、それを会社も受け入れるというのが描かれてて、部下のアイディアを受け入れて、噛みくだいて、会社を良くしていこうってことだったり、いろんなメッセージが描かれてる」と現代の働く人々にも響く内容になっていると称賛する。

よしひろはその言葉にうなずきつつ、「あの時代のディオールが、プレタポルテ(既製服)や化粧品への進出を選ばなかったら、いまのシャネルなどのビューティーラインなんかもできなかった」と歴史的な背景も踏まえて解説。また、物語についても「イヤな人が一人として出てこない! コロナ禍でのこの2年くらい、配信なども含めて小難しい作品も多かったけど、こんなにシンプルで、悪い人が出てこないって最高!」と素直にミセス・ハリスの奮闘や周囲の人々とのドラマを楽しめたと太鼓判を押す。

よしひろから「これまでの人生で、惚れこんで『どうしても手に入れたい!』 と思ったものは?」と尋ねられたLiLiCoは、「小田井涼平(笑)」と愛する夫の名を即答!

もうひとつ、挙げたのが、高校時代に来日した際に魅せられたという「日本のTV(=芸能界)」の存在。「夏休みに(日本に)来て、私にとってはTVは“夢の箱”でした。『この箱に入りたい!』と高校を辞めちゃうくらい、ほしかった」と当時感じていた、日本で芸能人として活動することへの憧れをふり返りつつ「ほしいなと思ったら行動するタイプだし、途中で違うと思ったら、やめてもいい」と自らの行動原理を明かす。

よしひろは、LiLiCoの言葉に深くうなずき「私も姐さん(=LiLiCo)がいなかったら、(コメンテーターを務める)『スッキリ』の仕事、やってなかったです。姐さんに『イヤだったら、やめちゃえばいいよ』と言われて、やることにした」と明かす。

LiLiCoは「日本って“年相応”って言い方をすることが多い。『年相応の洋服』と新しい趣味をやりたいと思っても『こんな年齢だし』とか『2回目の結婚で結婚式は恥ずかしい』とか…全て、自分が自分を止めてるだけですから! 他人がどう思おうが関係ない!」と熱弁。さらに「私も『50代でミュージカルやりたい』とずっと言い続けてました。膝の骨を折っちゃって、オーディションに受かるのが難しくなったけど、そうなったらやめちゃえばいい。『前と言ってること違うね』とか言われるけど、それは成長したってことだし、考えが変わっていくのは当然のこと」と持論を展開する。

よしひろもLiLiCoの言葉に強く同意し「芯さえあれば自分を変えていくのもアリ! 映画の中で、イザベル・ユペールの役もブランドを守ろうとしつつ、方向性が間違っていたと気づいたら変わるけど、それはすごく大事なこと」と語る。

LiLiCoはさらに観客に向けて「ミセス・ハリスはディオールから元気やハッピーを受け取ったけど、本当のハッピーは自分の中にあった。みんな『何か良いことないかなぁ…?』って思うこともあると思うけど、実は(良いことは)自分の中にあるから、それを探す力を身につけてほしい。年末年始、忙しかったり寂しかったりすると、仕事に負けそうになったりするけど、(ミセス・ハリスは)自分の中のハッピーを見つけるのが上手な人だからこそ、一歩踏み出せた。そういう気持ちでみなさんが、やりたいことをやろうとなってくれたら」と呼びかけ、温かい拍手の中でトークイベントは幕を閉じた。

『ミセス・ハリス、パリへ行く』は11月18日(金)TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイント他全国ロードショー。

作品情報

ミセス・ハリス、パリへ行く
2022年11月18日(金)TOHO シネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開

STORY
第二次世界大戦後のロンドン。夫を亡くした家政婦ミセス・ハリス(レスリー・マンヴィル)は働き先でクリスチャンディオールのドレスに出会う。あまりの美しさに完全に魅せられたハリスは、ディオールのドレスを手に入れるためにパリへ行くことを決意する。なんとか集めたお金でパリへと旅立った彼女が向かった先は、ディオールの本店。威圧的なマネージャーのコルベール(イザベル・ユペール)から追い出されそうになるが、ハリスの夢をあきらめない姿勢は会計士のアンドレ(リュカ・ブラヴォー)やモデルのナターシャ(アルバ・バチスタ)、シャサーニュ侯爵(ランベール・ウィルソン)ら出会った人々を魅了していく。果たして彼女はクリスチャン ディオールのドレスを手に入れて、夢を叶えることができるのだろうか……。

監督・脚本: アンソニー・ファビアン
キャスト:レスリー・マンヴィル(『ファントム・スレッド』)、イザベル・ユペール(『ピアニスト』『エル ELLE』)、ジェイソン・アイザックス、ランベール・ウィルソン、アルバ・バチスタ、リュカ・ブラヴォー、ローズ・ウィリアムズ
製作:グザヴィエ・マーチャンド、ギョーム・バンスキー、アンソニー・ファビアン
字幕翻訳:栗原とみ子 字幕監修:渡辺三津子(ファッションジャーナリスト)
原題:『Mrs. Harris Goes to Paris』

配給:パルコ ユニバーサル映画

© 2022 FOCUS FEATURES LLC.

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