本年度の第94回アカデミー賞にて作品賞を含む3冠に輝いた『コーダ あいのうた』(公開中)のシアン・へダー監督の受賞記念インタビュー映像が到着した。日本の観客に向けた特別映像で、授賞式直後のバックステージでの感動的な様子や、スティーヴン・スピルバーグ監督からの賛辞の言葉などを明かしている。

「私たちはそれぞれ皆違うけれども、想像している以上に、私たちには共通するものがある」

まず受賞後のバックステージの様子について「マーリー(・マトリン)は泣いていて」と明かしたシアン・へダー監督。本作で主人公の母親役を演じたマーリーは実際にろう者の俳優であり、『愛は静けさの中に』(86)でアカデミー賞主演女優賞を受賞。今回父親役を演じたトロイ・コッツァーが助演男優賞に輝いたのは、ろう者の俳優としてそれ以来の快挙となった。

「マーリーが『35年前自分は(ろう者の俳優として初めて)アカデミー賞を受賞した。けれどもこの長きに渡って私はこの業界で孤独だった。もう孤独じゃない』と、言っていたんですよね。それを彼女が言った時に、彼女の通訳さんの声が震えて、泣き出してしまった。それだけパワフルだったからです」とそのときの状況を明かす。

ろう者の俳優として、過酷な道を進んできたマーリー。今回制作会社の反対を押し切り、耳が聞こえない役柄には実際に耳が聞こえない俳優をキャスティングした監督は「(本作の受賞は)変化の表れになりうる、ムーブメントになりうると宣言しているような、そんな瞬間だったと思います。だからとても喜びに溢れていて、皆でたくさんお祝いをしました。同時にとてもエモーショナルな夜でした。特にマーリーにとっては非常に長い長い戦いで、ようやく勝ち得たものだったから」とこの作品が起こした奇跡を振り返る。

続いて「受賞後にどんな言葉をもらいましたか」という質問には、スピルバーグ監督から「ここ5年で見た映画の中で最も好きな一本」との大絶賛を受けたことも告白する。

また、過激な社会派ドキュメンタリーで有名なマイケル・ムーア監督も『コーダ あいのうた』の話だけをしたポッドキャストを公開したそうで、「『マイケル・ムーア?!』となりました。彼が本作を好きになってくれているなんて(笑)」と嬉しい驚きがあったことも明かす。

他にも名優ハビエル・バルデムや、『DUNE/デューン 砂の惑星』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ら多くの映画人から愛あるサポートを受け取ったことを述べ、「私の映画作りのヒーローたちが、本作を観て感想を言ってくれているなんて…本当に信じられない状況です」と興奮気味に語った。

最後は日本の観客に向けたメッセージとして「本作は、家族についてのストーリーです。私たちはそれぞれ皆違うけれども、想像している以上に、私たちには共通するものがある、というメッセージが広がればと思います。日本の皆さんが本作を愛してくださっている事をとても嬉しく思いますし、日本で公開し、見て頂けることがとても嬉しいです」と締めくくった。

『コーダ あいのうた』は大ヒット上映中。

作品情報

コーダ あいのうた

STORY
海の町で、耳の聞こえない両親と兄と暮らすルビーは、幼い頃から家族の“通訳”となり、家業の漁業を毎日欠かさず手伝っていた。高校で合唱クラブを選択したルビー。彼女の歌の才能に気づいた顧問が、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、夢よりも家族の助けを続けることを選ばざるを得ない彼女は…。

監督・脚本:シアン・ヘダー 出演:エミリア・ジョーンズ「ロック&キー」、フェルディア・ウォルシュ=ピーロ『シング・ストリート』、マーリー・マトリン『愛は静けさの中に』
原題:CODA|2021年|アメリカ・フランス・カナダ|カラー|ビスタ|5.1chデジタル|112分|字幕翻訳:古田由紀子|PG12 

配給:ギャガ GAGA★

© 2020 VENDOME PICTURES LLC, PATHE FILMS

公式HP:gaga.ne.jp/coda

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